デューン 砂の惑星PART2(ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品) | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう

監督・脚本 ドゥニ・ヴィルヌーヴ

脚本 エリック・ロス、ジョン・スペイツ

原作 フランク・ハーバート

撮影 グリーグ・フレイザー 

編集 ジョー・ウォーカー

音楽 ハンス・ジマー

出演 ティモシー・シャラメ、ゼンデイヤ、レベッカ・ファーガソン、

   ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリン、オースティン・バトラー、

   フラーレンス・ビュー、デイヴ・バウティスタ、クリストファー・ウォーケン、

   レア・セドゥ、ステラン・スカルスガルド、シャーロット・ランプリング

2024年度 製作国 アメリカ 上映時間 2時間46分

 

鬼才ホドロフスキーにして、その壮大な世界観を描くには12時間必要と言わしめた

SF小説の金字塔「デューン」を、ドゥニ・ヴィルヌーヴは2部に分けて5時間半で

映画化しましたが、“神聖で自由で新しい視点から精神を解放させる”預言書のような映画“

を考えていたホドロフスキーとは違って、エコロジーの問題や人間の本質に迫る哲学的な

問題を蔑ろにして、視覚効果だけに特化したエンタメに徹したために、part1の重苦しく

間延びした無意味なダイアローグが、転結で盛り上がるpart2でも変化が見られず、

主人公ポールのカリスマ的なリーダーの危険性は、デヴィッド・リンチ版よりも

鮮明になっている点は評価しますが、この程度の奥行きの無い人間描写なら、

期間を設けて2部に分けて公開しなくても、3時間程度の上映時間に編集して公開した方が、

娯楽性はもっと高められたと思います。

ホドロフスキーは、主人公のポールが殺害されて肉体は滅びるが、彼の精神は人類の

精神になり、多元的な存在として、宇宙の意識と一体になる。
すべての人間が目覚めると世界が変わり、砂の惑星も植物や動物が育つパラダイスになると、
ポールと同じ意識を持つ救世主の惑星になって、他の惑星を目覚めさせるために

宇宙を進んで行くという、原作と全く違うラストシーンを考えていましたが、

「砂の惑星」に限らず、生真面目なドゥニ・ヴィルヌーヴの作品を観る度に思う事ですが、

ホドロフスキーのような遊び心を持たないと、何時までも職人監督としての地位から

脱することは出来ないでしょう。

 

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