ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル 1080 コメルス河畔通り23番地 | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう

監督・脚本 シャンタル・アケルマン

撮影 バベット・マンゴルト

編集 パトリシア・カニーノ

出演 デルフィーヌ・セリッグ、ヤン・デコルテ、アンリ・ストルク

1957年度 製作国 フランス/ベルギー  上映時間 3時間21分

 

BFI(英国映画協会)が10年ごとに発表している「史上最高の映画100」が

2022年に発表されていますが、今まで1度もランクインしたことがない本作が、

何と「市民ケーン」や「めまい」を抑えて1位に輝きました。

1975年にベルギー出身の女性監督によって製作されたフェミニズム映画で、

“男と寝る事は些細なこと”と、売春で生計を立てているシングルマザーの女性が、

ルーテインのように繰り返す家事の様子を固定カメラで長回しで捉えることで、

女性の社会的地位に対する問題提起が成されていて、今評価されるようになったのは、

漸く時代が本作に追い付いたという事なのでしょう。

ひとりの女性のありきたりな日常風景が、ドキュメンタリータッチで淡々と

続いていきますが、やがて女性の行動に異変が起き始めて行く過程が、

サスペンス映画を観ているような緊張感を生んで、3時間21分の長さを全く

感じさせません。

ラストシーンはストレートに描きすぎで、少しオブラードに包んでも良かったかなと

思いましたが、当時は、それぐらい女性の内に秘めた怒りが強かったという

事なのでしょう。

 

 

 

 

 

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