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文学ing

森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

妹が朝の王妃の壮練に連れていかれる。おれはその事を記す。
王国には2人の王妃が居る。昼の王妃と夜の王妃である。
昼の王妃は美しいのが好まれる。王子が立つ時に、同じころ生まれた女はみんな集められて、まなじりや鼻やくちびるや、背丈や腹の肉の付き方や、骨の堅さや腰の広さを測られる。
そして、昼の王妃が1人選ばれる。何れ国王の隣に立つかも知れない女だが、今はまだ王妃とは呼ばれない。嬪と呼ばれる。
昼に選ばれなかった女たちは、夜の宮に集められる。夜の中でも特に頑丈で、王になる男に耐えられたものだけが、夜の王妃、とやがて呼ばれるだろう。
昼は美しいものが好まれる。夜はたくましいものが選ばれる。だから、まれに夜の宮には男が入る。
妹が朝の王妃の荷役として連れていかれる。朝の王妃は、居ても居なくてもかまわない、しかしある場合には無くてはならないものである。
朝の王妃の役目の子供は、ふたつきで首が座り、みつきで腰が座り、いつつきで立ち、ななつきで歩いた女の子から選ばれる。だから妹が連れられる。
王の昼は政治、王の夜は生産。だから王には朝がない。
朝は王が隠れるときだ。朝の王妃は、王が務めを怠慢したとき、都を焼き払う力が求められる。王を殺すことが課せられる。愚王から国を守る役目を託される。だから朝の王妃は賢くなくてはならない。
妹は連れて行かれるのだ。私はそれを記す。あのこは平安を守るのだろうか。それを案じてこれを記す。