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文学ing

森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

カルタゴMの墓参りには、線香じゃなくて塩持って行け、と、我が家のささやかなしきたりである。祖父の厳命。

祖父の祖母がカルタゴMに殺された。やや穏やかにいうのなら、見殺しにされた。

カルタゴMのやつ、身内も居ないんだから、ウチでおとなしくしてりゃいいのに。

祖父の実家は旧家である。大旦那さんである。田植えの時にはソオトメさんがたくさん来た。


大旦那さんちにくるソオトメさんなんて、言い方をハバカラナイなら、そんなもん、だ。祖父の伯父なんかが、ソオトメさんちの養子っこだったカルタゴMと恋に落ちた。落ちるならとことん落ちてほしいものだった。塩を運ぶ私の感想。とまれ、恋に落ちた。カルタゴMには実家がないし、親御さんもいないから、祖父の祖父母が、まー、反対したそうだ。反対を押しきって、祖父の伯父とカルタゴMは結婚式を挙げた。しかも盛大な。

雅楽士が奏でて巫女さんが舞って、それは盛大な式だったそう。なんたって大旦那さんちの嫁取りだから。くそったれ。


で、なんでカルタゴMがカルタゴMかというと。


かつて、ハンニバルの故国を滅ぼすとき、ローマ人はその土地に塩を撒き散らしたのだ。二度と使えない土地にして、二度と戻れない国にするために。私の祖父は歴史に明るい。だから、カルタゴM。

その墓には、塩をまけ。二度と戻ってこないように。


高祖母が倒れたとき、カルタゴMは固まっていくそのひとをじーっと見ていたそうだ、走れば医者を呼んでくる、祖父の手を握ったまま。


ここまで読んだひとに分かってもらうために私は書いておきます。

カルタゴMには、本当いうと塩もいらない。


耕しても耕してもびくともしない。アスファルトだったんですから。