小説「ダンサー・自我」 | 文学ing

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森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

そこに、自分はない、だから止めようと思った。
私は動き続けてきた。
だが、人に動かされ続けてきたことを知った。
あーあ、駄目だね。
人に表現してもらうようではダメダメ、自分がそこになくては。
で、私はダンスクラブを辞めた。会長の考えたように踊るのが
間違っていると思ったから。
恥ずかしいことだけど、私には自我がある。こんな仕事をしてきて恥ずかしいコトだと思う。
ダンサーは雇い主からどんなでも踊れ、と言われたら踊るものだ。
でも、私には自我があってしまう。

"私の自我の赴かない場所には私は踊らない"

こういうのをアマチュアと言う。何が悪い。
だから私は止めることにした。
人に糸で動かしてもらうのはプロフェッショナルのやり方で、私は自分のだ。

もう、踊らない。糸は切れてしまった。