小説「脚の無い鳥」 | 文学ing

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森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

私は自分を足の無い鳥だと感じることがある。
この世に宿る枝を持たず、力尽きて地に果てるまで飛び続けているのだと。
否、
私は飛んでいるのではない。
ただ自らの肉体が地に落ちるまで、曖昧に空気の中を漂っているだけなのだと。
そんな風に感じることがある。

今日特にその感が強いのは、三年勤めた工場のパートを辞めたからかもしれない。
私は一人でアパートに戻る。

三日。

三日だけは自由に過ごそう。流石に何日も遊んで居られるだけの蓄えは無い
仕事は何れ探さなくてはならない。

何故仕事を辞めたのか?
では逆に考えよう。何故仕事を続けなくてはならないのか?

私は自分を永らえさせる意図はない。そう言う行いは無意味なことを知っている。

私は自分の体が地に落ちるのを待っている。落ちると言う他に選択肢が無いのだ、私には、脚がない。
枝に宿を得ることは出来ないのだ。

十代で学校に行くのを止めてから私はこのように町から町へ、場所から場所へ、人から人へ、状況に流されるだけの生き方をしている。

仕事に拘りは持っていない。
気に入らないなら辞める、まあまあ条件が良いなら続けるだけだ。寝る場所と多少の酒が飲める金額を稼げればそれで良い。

私は自分を足の無い鳥のようだと感じている。
脚の無い姿で、生まれるでもなく生きるでもなく、
落下の途中をただ過ごしている。

そんなように感じている。