焼きまんじゅう売りのおばさんを手伝ってた男の子にお金をあげたら、
彼はものごいになってしまった。
そういうことはここでは絶対にやってはいけない、
と同行者の酷くしかられたのだった。私はしゅんと小さくなって後を着いていく。
「この街で子供にお金渡すのはのら猫に餌をやるのとおんなじことなんだから。」
と言う。
彼は焼きまんじゅう売りのおばさんを手伝って客引やごみ捨てをしながら、売れ残りの焼きまんじゅうをもらって生きていたんだけど、
私がコインを一枚渡した日から同じような外国人にたかるようになってしまった。
たどたどしい言葉でオカネオカネと言いながら、観光客らしい大人にたかっている。
その方が実入りが良いらしい。
私は同行者と汁そばを食べに行こうと言いながら街を歩いていたら、そんな彼のことを見かけて哀しくなったのだった。
「通貨なんか止めて全部電子マネー化しちゃったらいいんだよ。」
私は汁そばにモヤシと煎り玉子とゴマをトッピングしようと考えていたので同行者の言ったのを聞き逃した。
「え、なんて?」
「クレジットカードからものごいに金やれんだろう。財布を持ってる必要もなくなるんだしさ。造幣局に使う税金も浮く。
通貨なんて使うの止めてみんな電子マネーにすればいいんだ。
そうすればあんな子供だって小銭がせびれないことに、気づくぜ。」
「電子マネーにしたらカードをぬすもうとするこが出てくるだけよ。
」
と私は言った。
「暗証番号が解らないのにカードだけ盗んでもしかたないだろう。」
「あのねえ。
こう言うのはね、ちゃあんと頭が良くて人のカードから暗証番号割り出せる悪い大人がトップに居て、あんなこどもを使ってカードのかっぱらいだけさせるもんなのよ」
「それが分かってるなら軽々しく子供に金を与えるんじゃない。」
と私は同行者にいわれて、やっぱりしゅんとしてはあい、と応える。
「電子マネー、使えばメリットの方が大きいのにまだまだ広まらない。中途半端な時代を俺らは今生きてるんだなあ。」
屋台の汁そばなんて前世紀的この上ないしな、などと同行者はぶつくさ言うのだった。
そのわりにこの街から立ち去ろうとはしないのだった。