私小説「面影」 | 文学ing

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森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

最近何の気なしに、
自分が喋ったこととか手に取る仕草などが、死んだ父にそっくりに成っている、
と気付いて自分でギョッとすることがある。

父が死んで11年。私は35になった。ちょうど父が私を育てていた位の年に、息子も成った。

もともと私と父はversionが違うだけで同じWindowsなんだが、他の見内をそれと比較するならあんなやつらは電卓だ。
私と父は他の親族から余りにも隔たって居る。
電卓と言うのは例えで別に悪口ではない。ただ、それだけ私と父は他の地が繋がっている筈の人たちから隔たっていた。

そして今では私だけが隔たっている。

父が死んで11年。私はどんどん父親に似ていく。いうなれば、原点に還っていくと言う事だろうか。
母親の方は私のそんな変化に全く気づいていない。その程度の女なのである。何をおもってこの人たちが結婚なんてしたんだろう。
それは最近50を過ぎ(た見た目で)て結婚した私の従姉妹くらい、生涯の謎である。

原点を目指すと言うことは、生まれる前の世界を目指していくと言うことだ。

私はどんどん父に近づいていく。
私の性質が父に接近して、見分けが付かないほどそっくりに成ったとき、それは私が生まれる原点を極めたと言うことだ、
その時私は死ぬのだろうか。

そのくらい、
私は自分の枯れすさびた低い声に父のそれを思い出してならない。
この人が私を存在させた原因なのだと。
だから自分を否定し続ける私は原点に還る事だけを目指して生きて、


少しずつ死んでいくんだろう。
そう考える、眠れなかった夜の続き。