降ってくる雨が線になって見えるような日は、
あーあこりゃ駄目だな、と思う。その激しさが。あらゆるやる気というものを奪う。せっかくの休日を棒にふることに決めた。
我家の辺りは水捌けがよくまず水溜まりなど出来ない。
水の塊は一直線に地面目掛けて突進し、あえなく砕けて
がゃはん
と泣くだけである。がゃはんがゃはんがゃはんと雨が激しく降っている。
昔、
雨の日はよく部屋に閉じ込められた。
ホルモンの病気だった母は雨の日になると必ず癇癪をおこしていたのだ。
僕は寝転がってテレビを見ていただけで、
だらしないっ
と雷を落とされる。そして一日部屋から出てはいけないと言われるのだった。
それでも雨の日は嫌いじゃなかった。僕は本をたくさん持っていたし読むのも好きだった。
パズルやクイズの本もたくさんあったから一日いても退屈はしなかった。
それに窓から雨を眺めるのも、別に嫌いではなかった。雨粒が線見たいに見えてどうしようもない雨の日に。
こんなに雨が降っていても、水滴の檻の向こうでは野良犬が歩いていてカエルが泣いていて、鳥が雨宿りしていてトカゲが猫に食べられている。そんな世界が広がっている。僕はそんな風に世界を想像していた。
そんな世界のこちら側に僕はいた。
とても安心出来る風景だった。僕は雨の日に世界が大きいのだと言う事を覚えた。
世界は大きくて、その営みに比べたら僕なんてほとんど居ないこととおんなじなんだと。
そう考えるととても安心出来た。
大雨は僕を安心させてくれる。僕は安心して休日をふいにする。
そして心置きなく、自分の無力感の中に埋没する。