躍らない心を抱えて私は草を抜いている。これからラベンダーをここに植えようと思っている。
手を掛けなくても繁殖していく植物をたくさん植えようと思っている。そうしたらお互いに淘汰しあって、わざわざ雑草を刈り取る必要も無くなっていくだろう。
紫蘇とミントと三葉とタイムを植えよう。植えたら後は勝手に育つに任せよう。
ここは放置された家の庭だ。否、庭だった場所だ。もう何年も、違うな私が覚えている限りだから数十年。
放置されたまま腐るでも朽ちるでもなく、誰かの注意に留まるでもなく、
ただそこにあるぼろぼろの家の、庭だった場所だ。
私はそこで遊んでいる。
草と草が淘汰しあうナチュラルな庭が作りたくて。
勝手に戦って勝手に繁栄していって、勝手に朽ち果てていって、
それがみんな、私の、思い通りになるように。そんな庭になってほしくて草を抜いている。
誰だか分からない人んちの、ギシギシが一杯に繁ったのを不愉快に思いながら。
私は草なんかに拘泥するのが嫌なのだ。勝手に映えてなんか欲しくない。かといっていちいち刈ってやるのも面倒なのだ、なんで私がそんなことを。
だから私は放置された人んちの庭で実験的に淘汰しあう草の繁殖を試みている。
淘汰しあって、でも生き残る奴はいるのだな。そう考えると、何故か私の心は躍らないのだが。