小説「青い血」 | 文学ing

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森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

青い血が欲しければトカゲにでもなればいい。
冷たい皮膚を持って尻尾が無くなっても気になんてしなけりゃいい。

それはそれで間違った生き方じゃない。失ってもじゃんじゃん湧いてくるものに、いちいち貪着せずにやっていくというのも一つのスタイルだ。

ただの、ひとつの、スタイルだ。それを冷淡無情と言うことが出来るのかもしれないけど。
では大切にしたいのは冷淡無情に生きる選択肢は確かにこの世界に準備されているという、そのこと。
そうである以上私は青い血を持って生きていくことが出来るだろう。冷たい皮膚を持ってトカゲの様に。あるいは右手を切り落とされて。望み通りの青い血をてりてり流しながら。

でも無理だ。
私には温くて怠惰な赤い血が満ちている。トカゲみたいに冷たくは成れない。
右手がちぎれたら悲鳴を挙げなくてはならない。残念な事に冷淡無情に生きていくことは出来ない。

かといって右手がちぎれないように大切に生きていくことも出来ないし、根を張れるほど現実を信用することも出来ない。

大風が吹けば煽られて取り乱すし、濁流が鳴る時はついでに押し流されるだけである。
赤い血でもって生きるとはそう言うことだ。
だから私は青い血に憧れちゃうのだ。
右手の一本くらい、惜しまない生き方を私はしたい。