ところがなんでも無いことになんてならなかった。
なんとその後で小田切までもが小川さんを買ってしまったと言うのである。
「お前たち揃いも揃ってなにやってんだ。」
と私は近所の老舗(たんに古いだけ)の焼き肉屋に集まってしゅんとしている野郎どもに言った。暇なのかお前たちは。
「これは次に引っ掛かるのは宗田さんだな。」
「色々と人聞きの悪いことを言うんじゃねえ。」
「いや、だからそういうところが宗田さんだけ昔と変わらないよな」
と坂岡くんに言われた。
「そんなことない。
私は今この顔ぶれだから昔のキャラが甦ってるだけで、大阪にいた頃はもっとかわいかったんだぜ。」
と言ったら誰も信じなかった。むしろ、やっぱり次引っ掛かるのは小川さんだな。なんて言われた。しつれいな。
「それにしたって次からつぎから情けない奴等だなあ。そもそもなしだろ、道端で女性を購入するのは。」
「まあ、犯罪だよな。」
と岡村くんがカルビつつきながら言う。昔と違ってカルビも筋っぽくなった。
それが解っててなんでみんな着いてっちゃうんだよ、と聴いた。一体どんな女にうかうか着いていってしまうんだと疑問に感じたのだ。
「どんな人なの? その、小川さんは?」
私が聞くと、兄弟3人はしばし言葉を交わした後で
峰不二子が峰不二子のままで朝倉南になったような感じ
と言われた。全く意味が分からない。
「ともかく俺も岡村たちの言った意味が良くわかった。」
「何、どゆこと?」
私は青リンゴサワーを呑みながら小田切に聞いた。昔はここの冷麺はもっと旨かった
。なのに今は勝手に酢をいれて出してくる。前はお好みで、樋ってお酢の小瓶をくれたのに。私はそれが残念だった。
「ごっそり奪い取ったような気分になるんだよ。終わった後で。」
「ばーか。」
と私は言った。
そして三兄弟が揃って同じことを言うのがなんだか恐ろしくなった。
掠め取った気がする、
搾り取ったきがする、
奪い取った気がする、
何を?
「分からねえよ。」
小田切は答えた。
「ふんだくられたのはお前らだろうに。」
「確かにそうなんだけど。」
「でも何故か無理矢理やったような気分にさせられるんだ。」
岡村くんと、小田切が重ねて言った。そして
「ピートロとタンシオ追加で3人前ずつ頼もうぜ。」
と小田切が言った。