その女の赤坊は土に埋められようとしていた。
魂抜きが上手くいかなかったからである。高族に女の子の赤坊が生まれると先ず魂抜きが行われる。
女に魂が宿ったままだと将来子供が産めないからだ。
かくて高族の女は生まれて直ぐに魂を抜かれてばかになってしまう。
そして適当な男に嫁がされて子作りにせっせすると言うわけだ。
我々庶民は女が生まれでても別に魂を抜いたりはしない。
女は働き手だからな。
ばかには仕事が出来ない。食扶持を稼げない身内ははっきり言って面倒なのだ。
ところでその女の赤坊は土に埋められようとしていた。
高族の家に生まれたのだが、生まれた後に魂抜きの呪い者ばばあを蹴散らしたらしい。
呪いばばあがその赤坊から魂を抜こうとしたとき、
恬然とその女が目を開いて、
我は豊秋津姫の御霊である
いまわたしをこのよりしろから抜こうとは何事か
と喚いたらしい。で、呪いのばばあは、その声に当てられて死んだ。
だからその女の赤坊は土に埋められようとしている。
だから我々はその赤坊を盗もうと謀った、だっておもろいじゃないか。
魂の宿ったままの女には子供が産めない。それこそ野の草木を枯らすように災いをもたらすのだそうだ。
おもしろい。
高族に絞られて既に枯れた土地を更にどう枯らすというのか。我々はただそれがおもしろかった。
だから我々は殯の行列を皆殺しにして魂抜きの出来なかった赤坊を盗んだ。
笑いが止まらなかった。
さてこの女は我々にどんな厄災をもたらしてくれるのかな?