小説「魚の用途」 | 文学ing

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森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

「やれやれ。また戻ってきた。」
私は幸運屋。客が来れば幸運を用立てるのが仕事である。

しかしこの頃の品物は売っても売ってもまた私の元へ戻ってきてしまう。

私のところに戻ってくると言うことは、

買った人間がこれを売却しているのに他ならない。これは手放せば必ず私のところに戻ってくる。

この、黄金の幸福の魚は。

「この魚は、売れば百万円の値が付きます。必ず付きます。
大切に育てたら。
必ず二番目に大事な願い事が叶います。」

私はそう説明してお客さん達に黄金の幸福の魚を売った。

これはとても綺麗な魚で、鱗は黄金色をしているが見る角度によってあらゆる色を反射する。

光そのものみたいな魚なのだ。

それが、再びみたび売却されて私のところに戻ってきてしまうのである。

「やれやれ、百万円がそんなに魅力だろうか。」
私は悩む。
売ったからには手元で大切に飼育して、
無事に二番目の願い事を叶えてほしいものなのだが。
それが私の仕事なのだが。

「百万円の方が魅力的なんだろうか。」
あるいは、
二番目の願い事ならば自力で叶えられると、確信している人ばかりがこの魚を買っていく
と言うことなのだろうか。

私は悩む。
売り方を替えるべきだろうかと。