蛇と結晶 | 文学ing

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森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

よその地域は知らないが
この国で蛇はだいたい神様だ。
神様といってもだいぶエインショントで
ヤスクニとかとそんなかかわりない神様だ。
言い換えると自然のメタファーなんである。
川とか山とか、水とか土だとか、
神様は蛇の姿をして顕れた。
形が問題なんだと思った。
流線型。
自然の手による形象の中に、まったくの直線はありえない。
どれも僅かのゆがみや揺らぎを内包している。
そのイメージと、
うねりながら生きる蛇の姿は奇妙に一致する。
そして私のうねる黒髪。
しかし私はきづいてしまったのだが、
結晶は必ず直線なのである。
水晶を見よ。
雪を眺めよ。
全くの直線に依ってあるのだ。
私は酷く苦しんだ。
何でかと言うと世界に対する自分の認知は
その程度だったのかということで。
だから多少無理でも言ってしまうなら、
「曲線とは微小な直線の集合である。」
ぐずぐずになるくらい矛盾した
ふたつのことを抱え込みながら
絶然としてこのくにに在り続けるもの。
蛇とはつまりそういうものだと思うのだ。