小説「たまねぎの匂い」 | 文学ing

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森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

フライパンでたまねぎを炒める時の匂いについて
「ああ、晩メシ!」
と感じるようになったのはいつからだろうか。
子どものころ私の家族は貧しかった。たまねぎは廉価にして安定的に供給される野菜である。かつ、用途も幅広い。だから再さい飯の皿に乗ったのかもしれない。
あるいは自活をしだしたころだろうか。一人暮らしを始めた若いころやっぱり私はびんぼうだった。そして、訳のよく分かる野菜も少なかった。だからまたしても、再さいにたまねぎを勝った。たまねぎはいいやつだ。とりあえず炒めちまえばなんとかなる。醤油があればなんとかなる。
だから正直に言うと、フライパンでたまねぎを炒めているときに
(私はこの匂いを非常にツナみたいと思うのだが、それはツナマヨの印象が強いあまりに混同されたイメージだろうか。)
私が感じるノスタルジーがどこからやって来るのか私には分からない。割りと付かず離れず人生にたまねぎが絡んでいる気がする。
そのせいかどうかしらないが夫たるひとはたまねぎが好きだ。
ことさらに。