ドウシテキミハワラッタカ | 文学ing

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森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

鏡のなかのふがいない自分を
思う様睨みつけた後で
外に出たら
長く住んだ街が厭に輝かしいのは何故だ。
通りを歩く誰もが
うきうきした頬をさらけているのは何故だ。
君の部屋はマンションのこちら側。
別れ話をしにきた僕を
君が笑って迎えたのは何故だ。
僕がプレゼントした白い時計を
右手首につけている君。
カップにコーヒーだけ入れて持ってきた。
これからどんなにも素晴らしいことがおこる
心配な要素は何一つないのよ。
僕は味気ない毎日が
君を鯨飲するのを妨げるためにここに来たのだ
こんなにも君が笑っているのは
なにが起きたからと言うのか
僕たちが午後のテーブルに居た時
柱時計は9時を指していて
鏡に映ったそれは確かに3時だった。