☀晴れ渡る空の下
長い桜並木を、妻と歩いた
風はやわらかく、光は過剰でも不足でもなく
ただ、そこにあった
気がつけば結婚二十八年
あの頃、壊れてしまいそうに見えた君は
今も同じ速度で、わたしの隣を歩いている
自分は、酒もたばこも賭け事も知らず
人との距離の取り方も、どこか不器用なまま
それでも時間だけは、静かに積み重なっていった
仕事から帰れば、いつも君がいた
その「いつも」が、どれほどの重さを持っていたのか
当時の自分は、きっと知らなかった
些細な言葉でぶつかり
沈黙の夜をいくつも越えた
その声を、時に遠ざけたいと思ったこともある
けれど今ならわかる
あの声は、暮らしを守ろうとする
ひとつのかたちだったのだと
君は不自由を抱えながら生きている
それでも、歩みを止めることはなかった
手をつなぐという行為だけが
いつしか、言葉よりも確かな合図になっていった
支えていたはずの自分は
いつのまにか支えられていたのかもしれない
その事実に気づくのに、時間は長くかかった
陽光桜の枝先に、ナミテントウが止まる
わずかな揺らぎの中で、それは確かに生きている
SNSに残るのは一瞬の切り取りだが
あの日の時間は、切り取ることができない
ただ、同じ空気の中にいたという感覚だけが残る
沈黙の中にも
壊れていないものがあると知る
そして思う
これは特別な日ではない
どこかで劇的に変わった物語でもない
ただ続いてきた日々の、その延長にある風景
道は整ってはいない
まっすぐでもない
それでも確かに、道として続いている
道ありき
そして今もなお、その途中にいる🍓🍀
2026.4.26(日) 4月7日(火) 晴天






