温故知新 | ぶなまつの昆虫的エッセイ

ぶなまつの昆虫的エッセイ

昆虫の「生活史」をメインに、裏山にて「ソロ虫活」を楽しんでいるシニアです。
読書と哲学と自然が大好きです♡
イハレアカラ・ヒューレン博士を心の師としています。
平和(^^)/は私から始まる。
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  秋の夜 月の光に君想う 

      ああ君愛し 君恋し

 

 

 

どこかで聞いたような歌だが、夏から秋への変わり目。

虫たちも夏から秋の虫へと交代していく。

 

 

 

コロコロ ・・・コロコロ 

     ・・・コロコロ・・・コロコロ・・・

 

 

夜になると庭先で鳴くエンマコオロギの音色が心地いい。

ここに記した「愛しの君」とは、女房(ごめんね)のことではない。昔からシャイで小心者の自分、酒も嫌いなダメおやじに浮気なんてできる勇気もない。

そういえば、初任の時に宴会で「俺の酒が飲めないのか?「飲む」「打つ」「買う」をしない奴は男じゃない」と上司に言われたこともあったっけ。仕方なく飲んだふりをしたが、嫌いな飲酒を完全に絶って12年。毎晩、妻と一緒に飲む、ブルー・ソーラー・ウォーター(青い太陽水)で作ったブラックコーヒーが一番おいしい。

(自分は人間の女性よりも、昆虫たちの方に関心がある。身体に虫を寄せるフェロモンが出ているのだろうか?何故か関心がある虫たちが寄ってくることが多い。 冗談です。( ^^) _U~~てんとうむし)

 

 

冒頭の歌に詠んだ「君」とは誰のことか?

「クワバカ」ならすぐピンとくるはす。

そう、高山に生息する天空の君「ヒメオオクワガタ」のことだ。

実は9月が、ヒメオオクワガタの活動期なのだ。

「クワバカ」は、ヒメオオの観察・採集を終えて初めて今季の虫活が終わるのだ。自分はハンミョウバカであり、クワバカでもある。

しかし、今季の9月は、昨年度以上に仕事が忙しく、高山観察に行けない可能性が高い。定年退職の年度なのに、休日はひたすら家でデスクワークをしなければならない。下旬には二泊三日の東京方面の出張もある。(実をいうと、今年度まで定年退職の年齢が60歳なのだ。年金支給の65歳までの間、どうやって生活するかはまだ未定である。「老兵は死なず。ただ去りゆくのみ」と残して故郷に帰国したダグラス・マッカーサーのように、来年の3月末日が来たら、何も残さず真っ白の状態で今の職場を去っていきたい)

 

 

残念だ。とっても残念だ。

ぶなまつにとってブナ林のある高山は、パワースポットでもあり、心の源泉でもあるのに・・。

9月に行けないなんて。

 

 

 

 

振り返ると初めて「天空の君」に出逢えたのは、まだ妻が健康だった最後の年。息子が9歳のころだ。

現在、息子は21歳の大学3年生なので早12年が経過するのか・・。

月日のスピードに追い抜かれそうだ。

 

 

 

 

繰り返すが自分にとって今季は教職最後の年。

仕事のスピードが遅く、不器用な自分は、昨年度以上の仕事量に対し「期限まで仕上げなければ」という責任が重くのしかかり、焦っている。書類作成は、職場ではできないため自宅での持込みとなる。勤務時間外の作業は、まったくお金にならない。

 

先のことに対する「見えない不安」を感じ眠れなくなることもある。悩んでいる時間があったら少しでも、仕事をこなせばいいのに、モチベーションがマイナスに傾いてしまう。さらに、「今季は高山に行くことは無理」という消沈した気持ちも重なり、心がくじける。

 

この夏はTwitterで昆活結果をツイートし続けたが、その分、ブログの更新が停滞。

気持ちもすっきりしない。ブログを書かねばと思えば思うほどアイデアが浮かばなくなる。

仕方なく、深夜まで読書をした。

内容がまずかったか?読みかけていた文庫本。

『老人たちの裏社会』新郷由起著 宝島社 

というドキュメント本を最後まで読み終えた。

 

本の中に、自分とさほど齢も変わらない宮城県出身のホームレスもとりあげられていた。

読みながら

「自分もホームレスになったり、ごみ屋敷化した部屋の中で、孤立死を迎えてしまうのだろうか?」

と余計に落ち込んでしまった。著者が前書きで

「死ぬよりも、上手に老いることのほうが難しい時代になってしまった」

とつぶやいているが、その言葉がとても重く感じた。

 

 

 

 

こんな時こそヒューレン先生の言葉がほしかった。目覚めの朝に、先生の本をアトランダムに眺める中で、無意識にクリーニングする自分がいた。

 

「今回は、高山に行ったつもりになって、息子と初採集した「ヒメオオクワガタ採集記事」を旧ブログから再アップして新たに画像を組み合わせよう」

 

こうして出来上がったのが今回の記事だ。

(旧ブログ。10年以上も前の記事、自分でも忘れていた)

今回再アップしたのは、改めて高山採集の素晴らしさを再確認するとともに、小さなお子さんを連れて初採集するご家族の参考にしていただければという気持ちからだ。

現実、高山のヒメオオクワガタは、年々採集圧が強まり、♀を含めて根こそぎ採取する大人も多い。毎日のように現地に赴いて転売目的で採取をしている業者関係のおやじにも出くわしたことがある。自然と一体になりながら観察している最中に、マスクもつけず、煙草を吸いながら近づいてきて、探りを入れながら話しかけてきたのだ。自分はタバコの臭いが大嫌いなので、正直、不快感を感じた。

また、下の画像のように、ヒメオオが発生していたヤナギの生息場所があっという間に、工事目的で破壊されてしまうこともある。

 

 

 

 以下に記した記事は今から12年以上前のものである。当時と比べ、ヒメオオクワガタの数は激減している。それを実感しているのので、数年前から、採集しても、大きめの♂のみを持ち帰ることにしている。♀まで採集したら、飼育ブリードが難解なので、あっという間にいなくなってしまう可能性が高い。

 

 

2001年9月

ヒメオオクワガタ初採集記 過去ブログより

 

 

 ヒメオオクワガタは私が小学校のころ図鑑にも載っていない、まさしく謎の多いクワガタだった。高校生ごろからこのようなクワガタがいることがわかり、図鑑にも当たり前に載るようになったが、実物を見たことは一度もなかった。
インターネットでカブトムシやクワガタについて検索してみると、楽しい採集記事がたくさんあり、記事で採集を疑似体験している自分がいた。



 

「オオクワは無理としても、自分もこのようなヒメオオクワガタを見つけてみたいな」
そんなことを考えながら知識を蓄えた。
実際、このクワガタはアカアシクワガタと同じ高山種で、
「標高」「ヤナギの木」「ブナ林」の3点セット
がそろっていないと見つけられないということも分かった。

 

「9月が1番採集しやすく、宮城県でも採集している人がたくさんいる」
 

それからは、宮城県内でヒメオオを採取し、写真入りで採集記事を公開している人のホームページを食い入るようにして読み続けた。


 

読むたびに採集したいという気持ちが倍増し、いてもたってもいられなくなり、妻を説得し
「(義母も一緒に)家族でドライブをしながら採集に行こう」
と決めたのだった。
しかし、どこに行けばヒメオオクワガタに逢えるのかがさっぱり分からない。
地図を見ながら
「このへんかなぁ?」
と標高を上げてみたが、ヤナギの木は見当たらない。
(そもそもヤナギにクワガタがいるなんてこともわからなかった)

 

また、急斜面の狭い道路を、普通自動車で標高を上げていくほど高所恐怖症の自分は不安になり、怖くなった。
家族の命を預かる者として、絶対に無理することはできなかった。
諦めて平地に引き返し、ただのドライブに終わったことも何度かあった。
そんなことを繰り返しながら、月日が過ぎていった。
もちろんその間も、地図を見たり採集の知識を増やしていった。
「ヒメは初めてなのだから、確実にいそうなポイントにしよう。
やはりブナ林がたくさんあるところがいい。いくらなんでも福島県の某有名地までは遠すぎるよな」
そんなことを考え悩みに悩んだ末、採集地を1か所に絞った。
「よし、決めた。ここにしよう。とにかく行くしかない。行ってみて考えよう」
こうして、2001年9月、百円均一で購入した捕虫網や虫カゴ、長靴や大きめの傘などを車のトランクに常備して、ヒメオオ採集の目的地に向けて出発したのだった。
後は自分の直感に頼るしかなかった。

 

2001年9月19日(日) 天気はあいにくの曇り空。
家族を乗せ、2時間半で目的地周辺にたどり着く。
車でゆっくりと標高を上げていくと、ヒメオオクワガタにとって大切な木でもある太いブナ林が現れてきた。
迫力と存在感のある自然のブナ林は平地では見られないので、見るたびに
「すごい!ブナだぁー」
という声が思わず出てしまう。
心が癒されるようだ。
周囲の景色に目を奪われながらも、登り坂の道路左脇に、枯れていたブナの倒木が目に入った。
その隣には太めのヤナギの木が何本か生えていた。
「いる!」
私の直感がレーダーのようにクワガタの存在を教えてくれた。


 

車から降りて確認してみたが高い所にいるのか肉眼ではわからない。
「いないのか?」
と思いながら、木に登って力を込めて揺らしてみた。すると、
「ボトッ ボトッ ボトッ」「ボトッ ボトッ ボトッ」
と雨が降るように小さめのクワガタが道路に落ちた。
腹部が赤く、まるで漆で塗ったような漆黒のつやがある。高山種のアカアシクワガタだった。
前日降った雨水も一緒になって落ちてきて、頭髪が濡れてしまった。
40代後半の親父が木登りをしながら、子どものように興奮している。
「雨もしたたるいい男?」
車から降りた妻や義母たちは私の姿を見て声を出しながら笑った。



 

後続の車がやってくる前に、急いで道路に落ちたクワガタを採集した。
「さあ、もっと上に行くぞ」
アカアシクワガタを採集して気をよくした私は、車を走らせながらどんどん標高を上げた。
標高が高くなるにつれブナは増えるが、ヤナギの数が少なくなるようだ。

目的地に到着すると、長時間のドライブと高山の低気温のためなのか、息子(当時小学3年)が
「お腹が痛い・・」
と訴えるので車の中で休ませた。
「せっかく目的地に到着したのに・・。
息子が調子悪いんでは面白ぐねぇなぁ。
何とか1頭でもヒメがとれればお腹の痛みも消えるのに・・」
そんなことを考えながら崖っぷちに生えているヤナギをゆっくりと眺めてみた。
高山地帯のヤナギは冷涼のせいなのか幹の色がうす青白い。全体的にすらっとした細長い感じがするタイプが多いようだ。
ヤナギもいろいろな種類があるようだが、実はこのヤナギこそがヒメオオがつく『しあわせヤナギ』なのだ。




すると運が良いことに、月に向かって吠えている犬のように見えるヒメオオ♂のシルエットを発見した。
自分の頬をつねり、夢でないことを確認しながら1頭のシルエットに目を凝らす。
「脚は赤くない。やった!ヒメオオ♂だ」
すぐに大声で車の中の息子に教えると、満面の笑顔で興奮し駆け寄ってきた。
網の長さを調節して、広げた傘を逆にして、クワガタの下にそっと置く。
高まる気持ちを抑えながら、慎重に慎重に網を近づけたその時、
〝 ピョン! 〟
気配に気付いたのか自ら後ろにダイビングしながら地上に落ちていった。
「しまった。逃げられた」
と思ったが、何と幸いなことに、落ちた場所は『広げた傘の中』だった。
「神様が息子のために、私に運を与えてくれたんだな」
と思った。
「やったー。とったどー!」
息子が手にとって確認すると正真正銘のヒメオオだ。
「これがヒメオオか・・。脚が長くて、黒光りしていて、まるで貴族のような貴賓を感じさせるクワガタだな」
写真で見るよりも、実物の方がはるかに素晴らしく輝いて見えた。
息子もいつの間にか腹の痛みもふっ飛んで、一緒になって興奮していた。
しかし、カゴに入れようとした時、右側の脚が1本ないことに気がつき、突然がっかりした表情で
「かわいそうだから逃がす・・」
と言い出した。立派な個体がほしかったようだ。
かわいそうというのは嘘であると気がついた私は、
「(内心、このやろと思いながら)
このヒメオオは、お父さんとお前の2人で生まれて初めて採集した記念の♂だから、しっかり飼育しなさい」
と教えた。何はともあれ初ヒメの採集はとっても嬉しかった。
その後、場所を変えるために、登ってきた道をゆっくりと引き返した。

 


 

ついでに近くの林道も見てみることにした。
20メートルほどの太いブナの木がたくさんあり、その迫力に驚嘆しながら車を運転した。
狭い林道には山ぶどうやアケビの果実、猫が好きなマタタビの実など平地ではなかなか見られない植物もたくさん見られた。
「今度は、来た道を引き返しながら、ヒメのいそうなところをさがしてみよう」
そういいながらゆっくりと下り坂を進んでいった。
所々に車が停車しており、
「もしかして先行者かな?」
と焦ってしまう。
しかし、よく見てみるとクワガタ目当てではなく、キノコなど秋の食べ物等を目当てにきている採集者だとわかりひと安心する。


 

 道路の左側に車を停車できる幅があり、そこにもたくさんのヤナギとブナの木があるのを発見した。
「いる!」
直感がはしった。
枯れたブナの傍らに生えているヤナギに2頭のヒメオオ♂がついていたのを妻が見つけた。
捕虫網では届かないので、いつもの様に地面に傘を広げてヤナギをつつく。
1頭はうまく網の中に入ったが、もう1頭は網に正対し抵抗する。
「ほっ」
と息を抜いて網を持ちかえようとした瞬間、自分から背面にジャンプして、ぽろっと地面に落ちてしまった。
残念ながら傘にも入らず、藪の中。いくら探しても素早く潜ってしまうため見つからなかった。
次に別のヤナギを見ながら何気に幹を掴んでふってみると、1頭の♂が道路に落ちた。見ると4.8㎝ほどの大きさ。それを見た息子はもう大喜び。
小雨の中、時間もないのでそれ以上は深追いしないで、そこから離れ里山に向けて車を進めた。
里山近くでも息子は、樹液がしみていた1本のクヌギの木を見つけ、大きなアカアシクワガタ♂を発見する。
「お前、目がいいなぁ」と褒めたのはいいが、油断して今まで採集した虫ケースを、落とすハプニングもあった。
(幸い逃げだしたクワガタはいなかったのだけれども・・)



 

16:30ごろ、天気も薄暗くなり、自宅に帰る時間になった。
あっという間に楽しい時間がどんどん過ぎていた。
ヒメオオ採集の魅力に完全にはまったようだ。
「必ずまた来たいな」
そう思いながら山の神様に感謝して、無事帰宅の途についた。

 

完全にヒメオオクワガタ採集の魅力にはまってしまった。
ブナの迫力や自然に包まれるような心地よい樹木の香り。
爽やかで気持ちがよい秋の空気の下でのヤナギめぐり。
「サトウキビ?」を思わせるような細長く青白いヤナギ(タチヤナギ?)がいつまでも脳裏に焼き付いて離れない。
ケースの中のヒメオオクワガタたちを見るたびに、あの瞬間の興奮がよみがえってくる。

 

平地に戻ってきてからも、似たようなヤナギを見つけると
「ヒメがいるのでは?」
と思わず眺めてしまう。(平地でも、高山に生えるような幹の細いヤナギには、コクワガタ・スジクワガタなどがいることがある)
私もどうやら、完全に“ヤナギ中毒”にかかったらしい。(笑)
「来週は、10月最初の土日。天気予報も比較的いいらしい。もうこの日を逃したら、ヒメオオクワガタも姿を見せなくなるんでねぇが?」
と思うと,いてもたってもいられなくなった。
「・・来週1泊2日の泊まりがけで、同じ場所に行ぎだいんだげんとも・・・。
じっくりクワガタ採集したいんだ。ダメ?
温泉にゆっくり泊まったり、近ぐの観光地も見学するよ。
もちろんすべて俺が予約すっから。」
遠慮がちに(やや強引に)妻に頼み込んで、家族3人でふたたび採集地に行けることになった。心の中で
「やったー」
と叫び、すぐに採集地近くの旅館に予約をした。
「ありがとう」
と感謝しながら。



 10月2日(土)天気は晴れ
予報によると日曜日は雨になるらしい。
雨が降らないことを祈りながら準備を済ませて出発する。
今回は泊まりがけなので、途中観光地を見学する予定だ。
山間部は土地も広く、観光客数も都市部に比べて少ない。
天気にも恵まれ、ゆっくりと観光地を見学した。
「家族サービスはここまでだ」
自分の心の中に眠っている狩猟本能が目覚め、今にも爆発しそうだった。
見学した後、時計を見ると既に14:00をまわっていた。
「それではヒメオオ採集に出発進行だぜー」
「よっしゃー」
突然、声のイントネーションが変化した自分を見て、息子にも採集のスイッチが入ったようだ。

前回、アカアシが「ボトッ ボトッ」と落ちた、枯れたブナの木のそばのヤナギを気合いを込めて思い切り揺らしてみた。
「どうだ?」
結果、落ちてきたのは小さいアカアシ♂1頭と♀1頭のみだった。
気合いを入れすぎた結果なので、少々拍子抜け。

 

「時間がない。太陽が沈む前にどんどん採集しないと・・」
がっかりしている暇はない。
すぐに標高を上げて、ヒメオオクワガタの採集場所に移動した。
車を停車して、長靴を履いて、傘と2本の網を準備。
先週と同じ場所で、同じやり方での採集だ。




「いだぞ。先週落として逃してしまったヒメオオクワガタ♂だ」
他にも同じヤナギで♂2頭発見。
その内の1頭は上から下に降りてくる途中だった。息子が
「手づかみでゲット!」
と大喜び。
「あのヒメオオクワガタを手づかみでゲットするなんて、
なんて運がいい息子なんだろう」
喜ぶ姿を見てそれ以上に幸せを感じる私と妻。
もう1頭も私が網で慎重に捕獲。
さらに別のヤナギで♂♀ペア×2のヒメオオクワガタを捕獲。
ヤナギの陰には大きなブナの木があり、広げた傘を地面においてランダムにヤナギを揺らして見た。すると突然
「ボトン」
という音がした。見ると50㎜ほどの大きなヒメオオ♂が傘の中に入っていた。
「す・す・すごい!」
そう感じるほどの重量感。大声で息子に見せると、とびあがって喜んでいた。
「お父さんはすごいなぁ」
そんな姿を息子に見せることができたため、嬉しさと感動がますます倍増していった。

大きなヒメオオクワガタをケースに入れた後、その場を後にして、
初めてヒメオオを採集した傾斜面のヤナギに移動した。
妻と息子が自分よりも早くクワガタを見つける。
アカアシ♂だった。
傾斜が急なので自分が採取したのだが、
崖の岩石に片足をとられてしまい思いっ切り転んでしまった。
「いでぇ!」
見ると、すり傷から血が出ていた。
あぶない。あぶない。



 

夕方にもなると、標高が高い場所でもあり風が強くなってきた。
採集は次の日にして、すぐに車に戻り、予約していた旅館へ向かった。

 

旅館はリフォームして年月があまりたっていないらしく、

部屋(和室)もなかなか落ちつける感じ。
夕飯もおいしく食べて温泉に何度も入浴した。
お客も少なめだったせいか、露天風呂はほとんど貸切状態の幸せを味わった。
「来てよかった」
そう思いながら床についた。
しかし、採集での興奮を思い出して、すぐには熟睡できなかった。
翌日午前9:30に出発して、昨日の場所に再度行ってみた。
高い山の天気は変わりやすく、風と小雨が降りだした。
ヤナギを1本1本じっくりと見てみたが、結果的には何も見つけられなかった。
「同じ場所で昨日、たくさん採集したのでしょうがねぇがぁ・・」
とあきらめる。
13:00頃に近くの施設を見学し、15:00頃までゆっくりしていた。
敷地には様々な樹木が植えられていて、1本の太いヤナギの木には、クワガタやカナブンの噛み跡がたくさん残っていた。
見ると、スジクワガタ♂がいた。夏にはこの木で大きなミヤマクワガタを採取した子どももいたらしい。



 

帰り道、標高が低くなる中で、ヤナギの木に出会うたびにクワガタがいるか確認しながら、車を走らせた。
ダメもとで谷側に生えているヤナギを揺らすと、小さなアカアシクワガタ♂♀ペアと50mm強のアカアシ♂が落ちてきて、疲れて車の中で静かになっていた息子も元気を取り戻した。
あまり熟睡できなかった私は、またしてもクマザサに片足をとられて、思いっきり転んでしまった。
「いでぇ!」
また膝から血が出ていたのに気がついた。

ヤナギの傍には、3~4頭のキアゲハの幼虫がセロリの葉のようなものにくっついていたので、1頭を家に持ち帰った。
(幼虫は後日、息子が学級に持っていき、育てて蛹になったのはよかったが、結局、羽化をしなかったのでみんなでお墓を掘って埋めたらしい)
その日、結局自宅に着いたのは夕方18:00。

 

2週連続で通算3度採集目的でドライブしたのだが、疲れを感じることもなく、忘れられない楽しい思い出となったことを喜びたい。
採取したヒメオオクワガタとアカアシクワガタを、やや大きめのケースに移して一緒に飼育してみた。
観察するたびにヒメオオの表情に愛嬌を感じ、息子よりも、大人の自分の方が夢中になってしまっていた。
(ヒメオオクワガタやアカアシクワガタは、比較的寒さに強く、昆虫ゼリーだけの状態でも、越冬し翌年の6月ごろまで生き続けた)
「丁寧に飼育すれば、採集してから、最低1年以上は生き続けるかもしれないなぁ・・・」
そんなことを考えながら、来季の採集に心がときめくのだった。

 

 

★いかがでしょうか。当時はまだブログを書いておらず、日記に記録していました。

12年も前のヒメオオクワガタ初採集記録。乱獲され、現在は数も減少しつつあります。♀は今後のためにもフィールドに残してくださいね。

 

 

 

せっかくの高山、クマに出遭うのは怖いけれど、自然の素晴らしさと楽しさに触れてほしい。そして、

「昆虫大好き少年・少女」が、たくさん増えてほしいと願っている。だって、おらにとっても、みんなにとっても昆虫はともだづなのだがら。ニコ      

 

「ともだづはいいもんだ。目と目でものが言えるんだ。困ったどぎは力を貸そう。遠慮はいらねぇ。いづでもどこでも 君を見てるよ・・・ 

座敷童のペドロたちもそう言ってます。   !(^^)!感謝

       

         令和4年 8月28日(日) 深夜記す