ニコ 前回の記事で紹介した書籍。

先日、どれくらい売れたか確認のためTSUTAYAに赴いたら、

ほとんど変化がなく山積みされたままだった。

そして本日、ブックオフでも見つけたので手に取ってみると何と半額以下で販売されていた。

念のためにアマゾンで調べてみると・・。

本の価格と価値内容は異なるけど、その差に驚いた。

多くの人にこの本を読んでいただきたいという気持ちは変わらず、

むしろ「興味を示した方にとっては手に入れやすい状態ではないかな」とプラスに考えることにした。

それはさておき、この本は自分にとってとっても印象に残る本となった。

なぜ、海岸林にはクロマツが最適なのかも丁寧に説明されている。

そして、その担い手を請け負った公益財団法人「オイスカ」の人たちと閖上の人たちの気持ちに強く感動した。

偶然、自分も息子とプロジェクトの一部に一度参加した。

当時は、何もわからずただ参加しただけ。

しかし、この本を読みながら

「そのような背景があったのか」

と初めてわかることがたくさん記されていた。

著書の小林さんは次のような言葉を最後に記している。

「震災から間もなく10年。植えられたクロマツはまだ小さい。そのマツがどう育っていくのか。すべては、とは言わないが、多くは人がマツとどんな関係を作っていくかに左右されるのである。」

 

(クワガタ好きの自分が必ず行く近場の丘陵地フィールドには、スギやコナラとともにアカマツもたくさん植林されている。しかし、これまでマツのことはよくわからなかった。自分は高山の雄大なるブナ林が大好きだ。同様に身近に感じるこの愛しき若きクロマツも今後見守っていこう。そう決意し、自分のネームを「ブナマツ」に改めることを決意したのである)

 

自分自身にとっても、

この本との出会いが閖上に対する意識を良い方向に変化させてくれた。

胸が熱くなる素晴らしいドキュメント本であった。

この本との出会いにも感謝。

 

 

 

 

 

晴れ晴天が続く10月の下旬、海岸を散策する。

真新しい遊泳禁止のマークが自分を迎えてくれた。

2年?ほど前の夏に、釣りをする息子とこの場所に来たとき、

遊泳禁止と知りながらゴムボートを膨らませ海水浴をしようとした若者数人がいたので、

丁寧な口調で注意をしようとしたら、

「なんだお前」という表情で逆切れされたことを思い出した。

悲しいことにその若者たちは海に流され、一人が亡くなったのをその日のニュースで知った。

このようにお金をかけて注意の警告板を立てても無視する人間が必ずいる。

その結果、痛ましい事故につながっていくことは悲しいことである。

 

 

 

 

 

 

今年の夏は集団で遊びに来てバーベキューをしたり、ごみを散らかす人たちをたくさん見かけた。

コロナ禍の中でストレスがたまるのはわかるけれど、自然を汚す行為は慎んでもらいたいものだ。

 

秋冬が近い10月下旬の砂浜は人もまばらで釣り人も数人ほど。

ボランティアの方たちが清掃してくれた後なのか真夏にカワラハンミョウを観察しに来た時よりもきれいになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

上の画像は、波打ち際に作るハマトビムシの巣孔。

波打ち際を観察すると、0.5~1㎝ほどのハマトビムシの群れがぴょんびょん飛び跳ねていた。

まだ幼なかった息子と海水浴をしながら砂浜に寝転んでいると、このトビムシが刺してきてとても痛い思いをした記憶がある。(正確にいうと刺すというより、噛まれたいうべきかもしれない。噛まれると痛いが毒はない。トビムシは昆虫ではない。ヨコエビ科である。砂浜にも、土の中にもいる。種類も豊富だが小さいためあまり知られていないようだ)

でも、絶滅危惧種のカワラハンミョウにとってこのハマトビムシは大切な食糧でもあるのだ。もちろん小魚の餌にもなる。

今年はこのトビムシを飼育用の餌にすることはしなかったが、次年度は飼育用の餌として確保したいと思った。

 

肝心のカワラハンミョウの巣孔も探すがなかなか見つからない。

「これは?」

と思っても小さなカニの巣孔だったりする。

 

 

 

 

オフロード車の車輪の跡をいたるところで発見する。

人が少なくなると反対に車が入りやすい状態になるのかもしれない。

釣り目的の息子は、

「オフロード車がカワラハンミョウの減少に影響なんてしていないよ」

と言うが、実際多大な影響を与えていることは他の地域においても証明されている。

移動する車輪の跡を見ると波打ち際と草が生えているところの真ん中あたり。

ちょうど、カワラハンミョウの幼虫が巣孔を作る位置にぴったり当てはまっているのだ。

 

 

 

 

 

 

ようやく夏に成虫が活動していた周辺で、ハンミョウらしき円筒の巣孔を発見する。

カワラハンミョウの幼虫は、(ナミハンミョウの幼虫と比べて)深い巣孔を作るためにあまり顔を出さない。

目立つ砂浜の上空から、鳥に狙われることを防ぐためかもしれない。自分も生で幼虫を見たことないが画像で見ると(ナミハンミョウの幼虫よりも)頭部の色がきれいで海のようにブルー色なのだ。

 

 

 

 

約1時間ほど散策して確認できたのは5~6個ほどの巣孔のみ。

あまりにも少なすぎる。

もちろんすでに巣孔を閉じているものもあるだろう。

しかし、それでも少なすぎる。

「来年の夏にも成虫に出逢えるのだろうか?」

不安を感じながら砂浜を後にした。

 

 

 

夏よりもゴミの数が少なくなっていた。ボランティアさんたちのおかげですね。

 

 

 

 

 

 

 

おねがい 堤防の周辺に植樹したクロマツも6メートルほどの長さに成長した。

『松がつなぐあした』の著者小林省太さんは本の中で、プロジェクトが終了し、10年という節目の今後は、

「クロマツにとって最大の懸念が松くい虫の被害だ」

と記している。正確にいうと「マツノザイセンチュウ」が松の木の中に入り込み病気にして枯らしてしまうのだ。

具体的にいうと、「マツノザイセンチュウ」が【マツノマダラカミキリ】というカミキリムシに寄生して、松の木を次々と枯らしていく。

せまい間隔で一本一本の苗(それも普通種のクロマツ)を植えたため、片指ほどの頭数のカミキリがいたとしたら、密集した状態の若い松は次々と枯れていくだろう。

一本一本の間隔が狭いためこのまま大木に成長したら根が腐れ、窮屈で自滅していくと感じる。マツは「生き物」なのだ。人間だって密になれば苦しくなるし、コロナという見えないウィルスにあっという間に感染してしまう。(幸い、マツノマダラカミキリは一生が1年で終わり、カミキリムシとしては30ミリほどの中型だから肉眼で見えるし捕まえることもできる。経験上、これくらいのカミキリムシは振動に弱いため樹木を揺らせば簡単に地面に落ちるのだ)

 

素人の自分でも簡単に想像できる危険性については、もちろん著書の小林さんも以下のように気づいていた。

「造林としての今後の課題の1つは、本数を減らす間伐である。・・いずれにせよ、現在は1ヘクタールに5000本植わっているマツを何回かに分けて減らし、最終的には800~ 1000本程度にするという。・・・遠からず本数調整が必要になることはわかる。この作業は素人の手には負えないだろう」

(本書174 ~ 175)

本をじっくり読むと、「伐倒駆除」「予防散布」「樹液注入」などのマツクイムシ対策もあるし、

(現在約6メートル超に成長している)本数を減らす作業が行われる計画もあると知り少し安心した。

幸いそのための予算も蓄えているそうだ。(!(^^)!)

 

 

 

 

 

自称クワバカの自分自身、これまで針葉樹は(クワガタ等がつかない理由で)よく観察もしないで、採集においてもスルーしてきた。

カミキリムシはハンミョウやクワガタ同様に大好きな昆虫である。

これまで大型のカミキリムシとしてシロスジカミキリやミヤマカミキリ、(かんきつ類の害虫とされた)ゴマダラカミキリなどたくさんのカミキリムシを飼育観察した経験がある。しかし、年々コナラ等も減少し、カミキリムシの生息数も少なくなってきた。

(2年ほど前にシロスジカミキリ♂を採取・飼育していて、元気がなくなり×になったのを確認し、標本に残そうとしたらハリガネムシのような寄生虫がシロスジカミキリの腹部から出て、ぐるぐる巻きになっていて

「シロスジカミキリにも、(オオカマキリのように)ハリガネムシが寄生することがあるんだ」

と驚いた。(下の画像はその時のカミキリ♂。気持ちが悪かったのでハリガネムシに絡まった死骸は画像に残さなかった)

 

 

 

 

 

マツノマダラカミキリのことをネット等で調べていくと、自分にとっても興味があるカミキリであることがわかる。

身体全体の配色もマツの樹木そっくりで、外来種である1㎜ほどの「マツノザイセンチュウ」がどのようにして寄生するのか等、生活史にとても興味がある。自分以外の甲虫好きにとっても、「採集し、飼育してみたい」と感じている人がたくさんいるはずだ。

 

夜行性でもあるマツノマダラカミキリ。今後、研究してみたい昆虫でもある。

だからとて、採集を目的に、真夏の6月から8月に、閖上海岸防災林に植林した100ヘクタールもあるクロマツの植林場所の中に一人で勝手に入り込んだり、夏の夜中に灯火セットを組んで、ライトアップして採集しようとしたら、警備員の方や警察官に

「コラー! 植林場所に勝手に入り込んで何をやっているんだ!」

と注意されてしまうだろう。

「マツに付くマツノマダラカミキリを採集したいんです」

と答えたとしても、(大人でも昆虫について知らない人が多くなっているから)

確実に注意されるのは目に見えてしまう。

ましてや採集スタイルは、真夏であってもマダニなどが入り込まないように、上下の長そでにウインドブレーカーを重ねる。帽子・手ぬぐい・長靴とデュート入りの虫除けスプレーは必需品だ。

夏の海を楽しむ格好の人たちの中に入れば、完全に不審者と間違えられてしまう。

密集した状態のマツ林は、アブラムシ・ハダニ・マツカレハなどの毒の強い毛虫も多い。マツのとがった葉も針のようにちくちく刺さって、あっという間に植物アレルギーになってしまうだろう。

 

 

何か良い方法がないものだろうか。えーん

 

 

中でも一番危険なのは何といっても、「マダニ」だ。

マダニほど恐ろしいものはない。マダニに噛まれて亡くなる人が全国的に増加している。マダニは年中どこにもいる。河川敷・丘陵地・藪・杉林・松林だけでなく、(意識しないためにわからない人も多いが)近所の空き地にも自宅の庭にもいるのだ。散歩中にペットの犬や猫について、飼い主も噛まれてしまい亡くなる方も多いのだ。

だから長い棒などを使ってできるだけ短時間で効率よくカミキリを採集しなくてはいけない。

(コブヤハズカミキリの採集方法のように、離れた個所から、(7mほどの特別に長い棒で)パンパン叩くのも良い方法だろう)

 

作業後はもちろん、海岸沿いに新設された温泉に入って、全身を洗うことは記すまでもない。こんなことは昆虫採集を趣味としている人は、だれでも簡単にわかることなのだ。

 

長々と書いたが、今後も愛する海岸について記していきたいと思う。( ^)o(^ )

 

 

 

                令和3年11月21日 (日 )記す

 

               

 ★ マツを守るために、風の強い北海道襟裳岬の防風柵を参考にして作られています。

海岸沿い100ヘクタール(サッカーグランド140面相当)に植えられた370000本のクロマツの苗が成長したもの。

すでに6m以上に成長した。

この成長途中のクロマツが、「津波」という自然の驚異を前にどれほどの効果が得られるのかは正直自分にもわからない。

(ここまで来るのにも、たくさんの人たちの努力と税金が費やされたのは確かだ。実際は、第二防波堤も作っている最中であり、住民もかさ上げしている箇所に移り住んでいる)

 

破壊的な津波の威力を知った現在、クロマツは人の命を守る防災林としてはあまり効果がないかもしれない。

だが、「今」を生きているこのクロマツの成長に、「想い」を投影しようとしている人たちの気持ちは大切にしたいと感じている。

 

 

  ありがとう・ごめんなさい・許してください・愛しています

 

   「平和は私から始まる」  感謝!(^^)!