飼育ハンミョウ(2018後半 沢沿い) | ぶなまつの新・昆虫的人生

ぶなまつの新・昆虫的人生

昆虫の「生活史」をメインに、裏山にて「ソロ虫活」を楽しんでいるシニアです。
読書と哲学と自然が大好きです♡
イハレアカラ・ヒューレン博士を心の師としています。
平和(^^)/は私から始まる。
https://twitter.com/IKpkVRZG6nDrqVE ぶなまつで検索

イメージ 1

 

  鉛筆崩れたこのフィールドを何度眺めただろうか。 沢のナミハンミョウも例年7月上旬頃より徐々に寿命が尽き、個体数が減少していく。梅雨の晴れ間が残りの♂にとっては最後の交尾チャンスとなるのだ。(7月末から8月初めは「端境期」といわれ、成虫は羽化した新しい成虫にそっくり入れ替わるのだそうだ)

  
    飼育ハンミョウ(2018後半 沢沿い)
  
今季(2018年度)の成虫の寿命も残り2週間ほどになったので、6月中旬今季初めて沢の個体 ♂♀計2頭のみを採取して飼育観察を試みた。
 
イメージ 2
 
   採取してケースに入れた瞬間、すぐさま大アゴで♀の首を固定し交尾行為を繰り返す♂。おしりを「く」の字に曲げて交尾を嫌がる♀は既に交尾 済みの個体なのだろう。♂が余りにもしつこく交尾しようとするのでケー スから取り出し、分別して持ち帰る。
ケースに砂土のマットを入れて2頭をを入れた。マットの感触を大アゴで 確認する♂に対し、一方の♀はケースの裏蓋に止まったままだ。♂を避け ようとしているのか次の日の朝まで動こうともしなかった。人為的に下に ♀を落とすと、♂はすぐに♀を確認して何度も交尾を強要してきた。
 
イメージ 4
 
 しつこいので♂を別ケースに移す。(もしかしたら♀は産卵が近いのかも しれないと思い)ケースの中の♀1頭のみにしてみた。2~3日後、また一緒にしてみる。♂は♀を発見すると、すぐ交尾を求めてきたが、交尾の体勢のまま♀は抵抗し完全に挿入できないまま。♂の方が根負けした。
 
 

イメージ 3

 
イメージ 5
イメージ 6
 
その後、数日間雨が続き、ようやく天気が回復した7月9日(日)の早朝に確認したら♂は力尽きて×になっていた。♀は交尾後にも子孫を残す大切な役目があるため、♂より長生きするようだ。マットを見るとケースの隅に1齢幼虫の巣孔を2つ確認した。(何故か毎回ケースの隅の方に産むのは、隅の方が砂土の水はけがよいからかもしれない)
ハンミョウの卵は10~15日後に孵化するといわれているが、だとするとこの巣孔は×になった♂との間に生まれた幼虫のものなのか。それともそれ以前のものなのかは謎である。(♀の強い抵抗の様子から以前のものと考えられるが確定はできない)
 
2日後、♀も×になった。結局、巣孔内の1齢幼虫を肉眼で確認できず、8月の新成虫確認の際に、沢のフィールド内に巣孔を砂ごと戻した。(1齢幼虫は、土の中で巣孔が重なると共食いをするらしい。 これは他の甲虫の幼虫にも多く見られる共通点でもある。息子が小さい頃に、数多くの ノ コギリクワガタの幼虫を朽ち木ごと採取して、ケース内で羽化させよう  と試みたら、互いに共食いをしてしまい、確認したときは既に数が3分の1以下に減少していたことがあった)
 
イメージ 7
 
結果的に山道のナミハンミョウは産卵までいたらず×になり、沢沿いのナミハンミョウは巣孔を2つ確認しただけで終わってしまった。また、沢のフィールドで1頭の3齢幼虫を採取して育ててみたが、熱さと乾燥で×になった。幼虫の飼育は成虫以上に難しい。
 
イメージ 9
 
 
イメージ 8 
         ミルワームが頭上を歩いてもスルー状態のケース内の3齢幼虫
 
 考 察
 「メスは1日に数個から10個の卵を産みます。5月~6月のあいだには、全部で百数十個を産みます。」 『ハンミョウ』リブリオ出版P15参照 と図鑑には記されているがこれは本当なのだろうか。
確実に言えることは今のままの飼育では卵の量産はとても難しいということだ。もしかしたら、クワガタと同じように交尾後は、♂と♀を別々に分けて飼育するなど、♀が落ち着いて産卵できる環境を作る必要があるのかもしれない。インターネットで検索していくと、数年前の某ブログ記事に飼育ハンミョウが多産した例もあったが、その時だけの偶然的 要因が強く、多産の理由がよく分からなかった。ハンミョウのブリードは難しい。しかし、飼育4年経過において「交尾→産卵→1齢幼虫」までは何とか確認できているので、卵を量産させるヒントを考察しながら次年度も継続して飼育を試みたい。その過程で、まだ見たことのないナミハンミョウの羽化も肉眼で見てみたい。
   
 あとがき
飼育も5年目に入り、2018年度(平成30年度)の飼育ハンミョウについて のまとめを、1年遅れで記事にすることができた。♀の産卵数を確実に増やす手立てがわからず、現在も大きな壁になっている。