「今年は雪が少ないから芽吹きが早いかもしれない・・」
そんなことを考えながら今年もコルリクワガタ採集に向かった
新しい自家用車で初めての高速道はとても緊張する
ようやく運転に慣れて現地に着いたのは11時過ぎだった
新緑のブナ林と新鮮な空気と雪解け水・・・
天気がよく陽ざしが強いためか初夏を感じる
変な鳴き声がしたので水辺を見るとカエルの夫婦だった
春の陽気で子作りをしたくなったのだろうか(笑)
残雪もほとんど溶け、
暖かく乾いた地表にはアリたちがたくさん活動していた
新芽のほとんどが開いていた
「少し遅かったかな?」
「昨年以上に厳しいかも」
「この場所は終わってしまっているのだろうか・・」
そんなことを感じながら、
がっかりした気持ちで半開きの新芽を一つ一つ凝視していく
「コルリかな?」
と思った甲虫はコメツキムシだったり、
名前の分からないコガネムシだったり・・・
それでもその場所で2頭のコルリクワガタ♂を確認できた
久しぶりに見るコバルトブルーが美しい
「うわっ」
越冬を終えたスズメバチの女王も活動を始めていた
ブーン ブーン ブーン ブーン
羽音で威嚇し空中で停止しながらこちらを睨んでいる
深追いはやめて静かにその場所から離れた
太陽光線を身体全体で浴びながらギフチョウが飛んできた
薄紫色の花に止まった瞬間を撮影する
何とも言えない穏やかな気持ちになった
車で場所を移動するとブナの木にクワガタの産卵痕があった
道具も持参していなかったので材割はあきらめた
「結局コルリは♂2頭で終了だろうか・・・」
午後の日差しが強くなり、午後3時になろうとしていた
フィールドに戻り未確認場所の新芽を確認していく
「いた!」
半開きしたブナの新芽に
頭を突っ込みながら甘い汁を吸っているコルリクワガタ♀
♀の上に馬乗りになって交尾をしているコルリクワガタ♂
昼とは逆にコルリクワガタのつがいが次々と見つかった
両手ほどのつがいを確認しながら
♂5頭と♀3頭ほどを採集し飼育ケースに入れた
嬉しさで気持ちが高揚している中、
心を込めてシャッターを押す
「だめだ
何故かピンボケになってしまう」
それでも何とか数枚の撮影に成功した
それにしても何故始めに見つからなかったのだろうか?
時間帯によって陽の当たる新芽に集団で場所を移し、
移動しているのだろうか
コルリクワガタは集団で行動するクワガタなのかもしれない
たくさんのコルリクワガタを確認できたことに満足し、
感謝しながら陽ざしに包まれたフィールドを後にした
ユキグニコルリクワガタよ
ブナの新芽につく瑠璃色の生命よ
短いその生命に悔いを残すことなく
自分色に染め上げよ
2016年5月中旬 ユキグニコルリクワガタの基産地にて