晴天の5月下旬、丘陵地沿いに生えている背丈ほどのヤナギのひこばえを覗いてみた。
1㎝ほどの楕円形のハムシを見つけた。
淡黄褐色の地に黒斑。「ヤナギハムシ」だ。
♂は丸みがあり、腹部が黒い。動きも活発。
♀は♂よりも一回り大きく、腹部が黄色い。同じ場所からあまり動かない。
ヤナギハムシ♂
ヤナギハムシ♀
テントウムシに似ているが形はしっかりハムシである。普通種であるが、県によってはレアな虫になっているようだ。細いヤナギの枝に留まり葉を食べていた。
葉の裏や茎に、2頭ワンセットで蛹の脱皮の抜け殻がたくさんついていた。
「これが抜け殻なんだな‥ヤナギのひこばえをホストにしているのか?」
思わず見入ってしまった。
蛹の抜け殻
♂左・♀右
この時期は、普段あまり目を向けることのない昆虫にも意識が向く。
「ここで生まれ成長し、つがいを求め交尾し、短い命を生きるヤナギハムシ。いつの日か、この道沿いの短いヤナギも雑草として切られてなくなるかもしれない。そんな不安を彼らは感じることなく、本能に従い、短い生をあるがままに生きている。自分は5月時点で、定年退職2年目。就活のため再度ハローワーク通いをしているがなかなかうまくいかなくて悩んでしまう。
先のことを考えると不安に負けそうになる。けれど、短い命を生きているこの小さな甲虫から
『あるがままに生きること』
の大切さを今この瞬間、教えられたような気がする」
高山のブナの新芽に潜り込む「コルリクワガタ」のようにも感じたヤナギハムシ。これからは、他県まで赴きコルリクワガタの観察ができなくても、近場のフィールドで毎年この時期に「ヤナギハムシ」を観察できることを楽しみにしていきたい。
暑い6月。既に短い生を終えたのか全くいなくなっていた。
令和6年6月23日(日)記す 本日、宮城県梅雨入り☔