今日は劇場版名探偵コナンの最新作『ハロウィンの花嫁』を観に行ってきた。毎年恒例の楽しみだが、今回は特に面白かった!そしてその足で3回目のワクチン接種(ファイザー→ファイザー→モデルナ)。今のところまだ副反応らしいものは出ていないが、私の周囲の友人が悉く3回目は撃沈しているので、結構戦々恐々としている。熱が出て来ないうちに今日のブログを書いてしまいたい。

 

 さて、今日取り上げるのは宏美ファンでも気をつけていないとチェック漏れの可能性のあるレア曲である。と言っても、オリジナルはゴールデングローブ賞主題歌賞を受賞、アカデミー歌曲賞にもノミネートされた「The Prayer」である。

 

 「The Prayer」は、アーサー王伝説を下敷きにしたアニメーション映画『魔法の剣 キャメロット(Quest for Camelot)』(1998,米)の主題歌である。『魔法の剣 キャメロット』は、円卓の騎士である父・ライオネル卿を邪悪な男ルーバーに殺された一人の少女・ケイリーが成長し、キャメロット王国の平和を取り戻そうとする冒険を描く映画である。製作:ダリサ・クーパー・コーエン、監督:フレデリック・デュショー、音楽:デビッド・フォスター、パトリック・ドイル。

 

 

 「The Prayer」は、魔法の剣・エクスカリバーを探す冒険に旅立つケイリーを見送る母・ジュリアナが、娘の無事を祈るシーンの歌である。英語版の作詞はキャロル・ベイヤー・セイガー、作曲はデビッド・フォスター。ジュリアナ役の声優はジェーン・シーモアだが、歌はセリーヌ・ディオンによって吹き替えられている。この歌は、セリーヌ・ディオンと、イタリアのテノール歌手、アンドレア・ボチェッリがそれぞれ英語版・イタリア語版を吹き込んでいるが、後に二人のデュエット盤もリリースされている。セリーヌの録音は劇中で、ボチェッリのものはエンドタイトルで使用されている。お二人のデュエットver.をお聴きいただこう。

 

 

 さて、この映画の日本語吹き替え版で、母・ジュリアナ役で宏美さんに白羽の矢が立ったのである。この年はNHKドラマ館『少年たち』、『レミゼラブル』の舞台もあった年でもあり、宏美さんは役者づいていたのか。ジュリアナは、ルーバーの圧力にも屈しない美貌の未亡人という役どころだ。毅然とした態度は宏美さんにピッタリ合った役だと思われる。

 

 映画の中で宏美さんが歌うのはこの「The Prayer」1曲だけだ。劇中バージョンではセリーヌの半音下のキーだが、宏美さんにはかなり高めのキーで、ファルセットメインで歌われている。そのせいか、或いはミュージカルモードがオンになっているためか、当時の宏美さんの他の楽曲と若干歌唱法や声のイメージが異なり、また宏美さんの新たな魅力を発見したような気持ちになる。自ら人質となりながらケイリーの旅立ちを見送るジュリアナの歌は、岩崎宏美という適材を得て温かく優しく、気高さすら漂う仕上がりとなっている。

 

 

 惜しむらくは、オリジナル英語版のサントラは出ているものの、日本語版のCDはリリースされなかったことだ。われわれは今、『魔法の剣 キャメロット』のDVDに収録されている1分半足らずしか、宏美さんの歌を聴くことができないのである。

 

(2000.8.25 DVD『魔法の剣 キャメロット』収録)