多彩なプロデューサー陣による岩崎宏美復帰第2弾オリジナル・アルバム『Shower of Love』より。アルバム後半M-7,8,9は13CATSが登場し、前作『FULL CIRCLE』の世界観を髣髴とさせつつ、新しい面も見せる。

 

 吉田美奈子、角松敏生、広瀬香美の作品が続くアルバム前半は、歌い上げも多く聴き応え充分だが、その分やや宏美さんの歌い方にも熱が入り過ぎ、若干重い感が否めない。この後半3曲はサウンドもドライ、宏美さんのボーカルも軽やかに聞こえ、アルバム全体としてバランスが取れていると感じる。

 

 この「たったひとつだけ」は、CAT GRAY の曲に、SING LIKE TALKING の藤田千章さんが詞をつけたもの。このアルバムの曲は、どちらかと言うと混み入ったシチュエーションの詞が多い中で、この歌はシンプルな愛の讃歌で分かり易い。サウンド的にも、アルバム中テンポも最も速く(BPM≒121)、16ビートのメジャー調でどこまでも明るい。

 

 ライトでハッピーなリフレイン(コーラス)のメロディーが、曲頭にもスキャット(♪ La-la-la)で歌われており、スンナリこの曲の世界に入れる。Aメロの「♪ 太陽が/今日もまた〜」からの部分は、日本語詞ではあるが、宏美さんが英語詞などの時にしばしば繰り出すサバサバした「男前」な歌い方も垣間見える。

 

 次いでBパートに当たる「♪ 青い空の向こうまでも〜」の部分は、宏美さんのロングトーンを活かしながら、エフェクトをかけ、ブリッジとして効果的な働きをしていると言える。サビの男声コーラスは、目をこすってクレジットをよく見ても、キャットその人以外に考えられない。見事なまでに自然な日本語のコーラスである。さすが、使えるオタク⁉︎😜

 

 ツーコーラス終わった後、「♪ 私の歌と〜」から所謂落ちサビで、バックのサウンドがドラムス(沼澤尚)とパーカッション(カール・ペラッゾ)だけになる。そして途中の「♪ この愛の名の下に」でベースが入って来て、歌メロが変化。キャット・グレイお得意の、宏美さんのファルセットによる超ハイトーンを駆使したフレーズに度肝を抜かれる。階段を登るように一つずつ上がっていき、最後の伸ばしの音は、何とHigh-Gである。恐らく、宏美さんが吹き込んだ全スタジオ録音音源中の最高音であろう。😍

 

 その後は、キャットとジェーン・チャイルドも加わって、リフレインが英語詞になって繰り返されるのである。ここがムチャクチャカッコよく、宏美さんのお声も若々しく楽しそう。だが、最後の「♪ Fall in love〜」以外は、何と言っているのかよく判らない。😓💦英語がお得意な方、是非教えてくださいね❣️

 

 

 快適なリフレインがフェイドアウトしてゆくと、一転、吉田美奈子サウンドに変わる。宏美さんが歌い上げるスローバラードの「BELIEVIN’」で、アルバムの幕を下ろすのだ。

 

(1997.10.22 アルバム『Shower of Love』収録)