今日はクリスマスイブ。だが娘と息子はそれぞれ予定があるようで、うちでは昨日ささやかなクリスマスディナーを囲み、「山梨ヌーヴォー」で乾杯した。🥂よって、今日は「普通の日」である。💦

 

 素晴らしいキャリアを持つ実力派シンガーであり、しかもカバー・アルバムの名作を数多く世に送り出している宏美さん。その宏美さんが、いまだクリスマス・アルバムを吹き込んでいないと言うのは、もはや日本歌謡界の七不思議のひとつと言っても過言ではないのではないか。😜

 

 昨年のイブにも同じようなことを思い、宏美さんがそれまでにテレビやコンサートなどで歌われたクリスマス・ソングを中心に勝手に構成、多くのビッグアーティストをフィーチュアした、宏美さん究極の妄想アルバムについて書いてみた。今読み直しても、これ以上ないゴージャスなクリスマス・アルバムである。未読の方は、是非読んでやってください。

 

 さて、今日は宏美さん唯一のオリジナル・クリスマス・ソングである「イブの物語」についてお話ししたい。現時点で最新のオリジナル・アルバム『PRESENT for you * for me』に収められている。作詞が「好きだなんて言えなかった」の松井五郎さん、作曲は宏美さんにとって成城学園の先輩に当たる森山良子さん、編曲は近年の宏美さんのサウンドを一手に引き受ける上杉洋史さんである。

 

 

 森山さんと宏美さんとは、先輩後輩というだけではなく、親交がおありのようだ。大先輩なのに「良子ちゃん」と呼んでおられるようだし、ライナーノーツにも、ムッシュ、タケカワユキヒデさんと4人でさんざん酔っ払った笑い話が書かれていた。4年前の森山さんのコンサートの折りには、宏美さんはSNSにアップしていらした。

 

 森山さんの50周年記念アルバム『Touch Me…』(2016)収録の「この広い野原いっぱい ~50th Anniversary Version~ with 50 Friends」にも、宏美さんは参加された。ヴァースを森山さんが歌った後、2番の最後の「♪ 虹に輝く ガラスにつめて」の部分を、何とさだまさしさんとハモっておられる。残念ながら動画は発見できなかった。

 

 そんな「良子ちゃん」から宏美さんへの、この上なく可愛らしいプレゼントが、この「イブの物語」だ。そしてそれは、宏美さんからわれわれファンへの、待ちに待ったクリスマス・プレゼントと言っても良い。

 

 この「イブの物語」だが、松井さんの書かれる詞の世界がまた良いのである。「好きだなんて言えなかった」もそうなのだが、すっごく大人になったわれわれのツボに来るのだ。この「イブの物語」は、シンプルな3コーラス+コーダという形をしている。統計上の用語のようで色気がないが、1番が二人の関係も上り坂の青年期、2番が働き盛りですれ違いも多い壮年期、3番がお互いの関係も熟した中年期、といった感じか。年を重ねたカップルのステキなクリスマス・イブの歌だ。

 

 

 そして、森山さんのどこか懐かしいようなメロディーと、宏美さんの透明感溢れるお声の織りなすイブの世界が、どこまでも温かい。(北半球の)クリスマスって、外は寒くて雪が降ったりするのに、どうしてこうも温かいイメージなのだろう。大切な人との心の通い合い、その温もり。世界中の誰もが、幸せにこの日をお祝いできればいいのに。

 

♪ こんな幸せが


 ずっとずっと続けばいい
 

 嬉しい気持ちが
 

 涙になりました
 

 Merry Christmas for you

 

(2018.8.15 アルバム『PRESENT for you * for me』収録)