昨日「ささやき」で宏美さんの可愛らしいセリフを取り上げた。そうしたら、弟から「俺はいまだに聞くと恥ずかしいぞ」とLINEが来て、朝から笑わせてもらった。🤣セリフ繋がりで、「夢で逢えたら」を思い出し、今日取り上げたくなった。

 

 「夢で逢えたら」は、言わずと知れた大瀧詠一作品。この曲は、最初に吉田美奈子さんに提供された(1976)が、多くのミュージシャンによってカバーされている。個人的には RATS&STAR のカバーが印象深い。吉田さんのバージョンはガードが固いようで、動画が見つからなかったが、歌詞には宏美さんと同じセリフが書いてあったので、あのセリフはオリジナルから存在したと判明。RATS&STAR のバージョンでご紹介しておこう。ちなみに、セリフは言っていない(笑)。

 

 

 とってもキャッチーなメロディーと可愛らしい歌詞であまり深く考えたことがなかったが、歌詞には「♪ あなたはわたしから 遠く離れているけど/逢いたくなったら まぶたをとじるの」と出てくるので、リアルではなかなか逢えない関係と想像される。文字通りの遠距離恋愛とも考えられるが、ネットで検索したら別れてしまった恋人、死別なんてのもヒットした。そう思ったら急にこの歌が切なく思えてくるが、私はやはり素直に、何らかの理由で物理的に離れている恋人同士、と考えることにしよう。

 

 宏美さんはこの曲を、初の邦楽カバー『すみれ色の涙から…』で「吉田美奈子さんの大ファンなので」自ら選曲している。ずっと後には『Shower of Love』でプロデュースもしてもらったり、彼女のアルバム『KEY』にコーラスで参加したりもしている。

 

 キーはAメジャー、編曲は萩田光雄先生。セルフコーラスが厚めに入り、エコーも効いていて、カラフルな花に囲まれた色付きの夢の中にいるような、まさに夢見心地のイメージだ。イントロはスネアの音一つだけ、というシンプルさが良い。

 

「いまも私 枕かかえて眠っているの

 もしも もしも 逢えたなら

 その時は 力いっぱい私を抱きしめてね」

 

というセリフは、6年間の成長の証か、はたまたバックコーラスに紛れているためか、照れずに聴くことができる。😜セリフの後も、又スネアの音一つで半音上がるのが潔い。

 

 

 また、宏美さんはこの27年後に『Dear Friends Ⅳ』で、今度はこの歌をヨシリンとのデュオでレコーディングしている。キーは-1のA♭メジャー(最後半音上がる)、アレンジは古川昌義さん。こちらはまた軽快なサウンドで、いつもながら息がピッタリの姉妹デュオを聴かせてくれる。

 

 

 ライブでも、2008〜09年の『シアワセノカケラ』ツアーではソロで、『Precious Night』のアンコールでは神奈フィルを従えて(編曲/指揮:藤野浩一)お二人で披露して下さっている。後者は映像ソフト化されているので、是非ご覧いただきたい。

 

 さて、大瀧詠一さんと言うと、私にはもう学生時代そのもの、と言って良いのが、彼の『A LONG VACATION』と、寺尾聰さんの『Reflections』だ。共に『すみれ色の涙から…』と同じ1981年のアルバムだが、当時友だちの誰の部屋に行っても、誰の車に乗ってもかかっていた、本当の大ヒットアルバムだった。

 

 

 大瀧さんはいろいろな歌手に楽曲も提供しているのだが、これがまた誰が歌っても大瀧サウンドはすぐに判るのだ。「風立ちぬ」(松田聖子)、「冬のリヴィエラ」(森進一)、「探偵物語/すこしだけやさしく」(薬師丸ひろ子)等々。大学の仲間と、「これも大瀧じゃね?」などとよく言っていたのが懐かしい。若くして亡くなられたのが、本当に残念だ。

 

(1981.11.5 アルバム『すみれ色の涙から…』収録)