東京五輪最終日、男子マラソン。エントリー106名中30名が棄権するという過酷なレースになったが、キプチョゲ選手の五輪連覇、そして大迫選手の6位入賞で幕を閉じた。箱根駅伝オタクの私としては、本大会参加の大迫・中村・服部の日本人3選手は学生時代からその活躍を見て来たし、その後もずっと応援し続けて来ただけに思い入れがあった。

 

 大会前からラストレースを公言していた大迫。35kmを過ぎてから前の2人を抜いて2位集団を追う諦めない姿は眩しかった。笑顔で手を上げてゴールイン、自身の走りを「100点満点」と評した。だが、ストイックでふだんクールな大迫が、インタビューの途中で感極まってタオルで顔を押さえたシーンには、思わずもらい泣き。😭

 

 参加した全ての選手の皆様、お疲れ様でした。また、実力を発揮し切れなかった中村や服部のリベンジも期待したいし、大迫が言っていたように、後に続く後輩の活躍、特に今年のびわ湖毎日マラソンで日本記録を樹立した鈴木健吾選手に注目したい。

 

大迫傑(東京)→鈴木健吾(パリ)

 

 東京の次は2024年のパリ五輪が予定されている。今日の選曲は、これしかないでしょう!「東京ーパリ」は、宏美さんにとって8枚目、70年代最後を締め括るオリジナル・アルバム『10カラット・ダイヤモンド』に収録されているポップ・チューンである。作詞:三浦徳子、作編曲:穂口雄右。このコンビの作品は、この1曲だけである。

 

 以前恋人同士で旅したことのある街・パリを独り再訪する主人公。パリのどこへ行っても、あなたへの愛、あの頃の夢を再確認する、そんな歌である。湿っぽさのカケラもない軽快なサウンドと宏美さんの歌い方が心地よい。

 

 このアルバムは作詞を阿木燿子・三浦徳子の2人の女性、作曲を川口真・穂口雄右・佐藤準・筒美京平・船山基紀の5人の男性で分け合っている。だが、アルバム全体の世界観の調和が取れており、サウンドの方向性も一貫していると感じる。この曲でも、随所で活躍するサックス、フルート、ギターなどの音色は、曲調も相俟ってどこまでも歯切れが良い。

 

 宏美さんのボーカルは、サビの「♪ あなたを今も愛しているの〜」からの伸びやかな高音のフレーズが続く。だがこの曲は、その後に「♪ ああ もうすぐに見えてくる あの頃の夢〜」の部分が付け加えられており、宏美さんの肩の力の抜けた歌い方も魅力的。あくまでも軽やかに爽やかに、曲を締め括るのだ。

 

 そう言えば、宏美さんはこのアルバムのライナーノーツで、「この頃は、自分なりに優しい歌い方にもトライしていますね。多分、『万華鏡』でその歌い方が採用されたので、アルバムにも如実に出ているんじゃないでしょうか」という興味深い発言をなさっている。

 

 

 私事になるが、私が初めて外国の土を踏んだのは、このアルバムのリリースから4年後、83年夏のパリであった。パリ滞在中はこの歌が頭の中をヘビロテ(笑)。「♪ カフェ・オ・レにしてと やっとカタコト」は、「カフェ・オ・レ、シル・ヴ・プレ」かなとか、「メトロ」は行きたい駅名を探して通路を分岐していけば「どこへも行け」たよなとか、この歌を聴くと懐かしく思い出す。🥰

 

(1979.10.5 アルバム『10カラット・ダイヤモンド』収録)