ディオンヌ・ワーウィックが1982年に発表したスタジオ・アルバム『フレンズ・イン・ラヴ』(Friends in Love)のタイトル・チューン。ジョニー・マティスとのデュエットで収録されている。ディオンヌについては説明無用、ジョニーは「ワンダフル!ワンダフル!」「恋のチャンス」等の大ヒットで知られるアメリカのポピュラー歌手だ。まずはオリジナルのお二人によるデュエット映像をご覧いただこう。

 

 

 作詞作曲に名を連ねるのはデヴィッド・フォスター、ビル・チャンプリン、そしてジェイ・グレイドンである。デヴィッドとビルは、宏美ファンにはお馴染みであろう。ジェイは、元々ギタリストの音楽プロデューサー。日本でも角松敏生・松田聖子らのプロデュースに関わっている。

 

 この曲は、アルバムからシングルカットされたものの、全米38位とメガヒット級ではない。だが宏美さんのこの曲への思い入れは強く、ディオンヌのLP盤で気に入り、1982年のリサイタルでも自ら選曲(ライナーノーツ、ファンクラブ会報による)されたそうだ。2004年の30周年記念BOXでは、『ROYAL BOX』に先立って、いち早くCD化もされている。

 

 歌の内容はタイトルの通りで、以前から身近にいた友人が恋人となった、というもの。訳詞の山川啓介さんは、いつもながらの美しい日本語で「愛と友情と ふたつの絆」「最後の恋 最後の人」とうまくまとめておられる。編曲は小野寺忠和さん。ホーンの入り方などもオリジナル版を踏襲したアレンジと言っていいだろう。キーも、ディオンヌのオリジナルと同じCメジャーである。

 

 宏美さんは、この曲をタイム・ファイブとのコラボレーションのコーナーで、エア・サプライの「さよならロンリーラブ」(ライブ盤未収録)に続いて披露している。タイム・ファイブとのジョイントと言うより、もっぱらトップテナーの田井さんとのデュエットという感じだ。他のメンバーはバックコーラスに回っている。

 

 田井さんとは、この前年にも「エンドレス・ラブ」を歌っている。曲の知名度では一歩譲るものの、楽曲のスケールの大きさ、聴かせる構成はこの「フレンズ・イン・ラブ」の方に軍配が上がるのではないか。「♪ Friends in love〜」からのリフレインの、息の合った歌い上げはリサイタルならではの名唱・名場面であろう。

 

 またこの曲は、ツーコーラス終わった後に転調し、「♪ 青い鳥は いつもすぐそばにいると〜」という大サビのパートがある。この辺り、後年の宏美さんとASKAのデュエット曲「Love is alive」を髣髴とさせるのだ。田井さんのソロを受けて、宏美さんのソロ「♪ ああ 二人の青い鳥も/すぐそばに Oh」の部分など、この曲の白眉、鳥肌モノの熱唱である。

 

 

 宏美さんは、この2年後『I won’t break your heart』で、この「フレンズ・イン・ラブ」の作者ビル・チャンプリンと、「Both Of Us」をデュエットしている。作曲ももちろんビル。どこにも書いてないが、宏美さんが「『フレンズ・イン・ラブ』のようなデュエットをビルに書いてもらって歌いたい」と言うようなリクエストをしていたのかも知れない。😉

 

(1982.12.16 アルバム『’82 岩崎宏美リサイタル』収録)