宏美さんの21世紀最初のオリジナル・アルバム『Happiness』より。このアルバムは、12曲全て作家陣が異なっている。また、7年ぶりのオリジナル・アルバムということもあるのだろう、宏美さんへの楽曲提供は初めての方が多い。前世紀から引き続いての提供者は、「ひととき」の藤田千章・佐藤竹善コンビ、そしてこの「幸せになろう」の作編曲者の山川恵津子さんだけである。わけてもこの曲は、80年代後半の宏美さんのオリジナル曲の雰囲気を残しており、何となく懐かしい色彩でホッとすることのできるナンバーである。

 

 作詞者の西脇唯さんは、シンガーソングライターで、作家でもある多才な方である。メジャーデビュー前にテレビアニメ「ドラえもん」のエンディング・テーマ「あしたも♥ともだち」を発表している。卒園式などでも歌われる人気曲である。まずはこちらをどうぞ。

 

 

 アルバム『Happiness』は、さまざまな幸せのあり方を歌った曲が詰まっているが、中でもこの「幸せになろう」は、何の憂いも翳りもない100%の幸福感が溢れ出ている。清貴クンがゲストコーラスで参加しているのも嬉しい。聴いているこちらまで幸せのお裾分けをいただいた気分になる曲である。

 

 山川エッちゃんの曲作りも、至ってシンプルだ。ワンコーラスはAA’BC、間奏以外転調もなく、ダイアトニック・スケール(その調の音階。臨時記号を使わない)だけで完結している。寛いで聴いていられる原因は、その辺りにもあるかも知れない。

 

 宏美さんの歌声も、歌の内容や曲調通りに明るい音色で響いている。サビの「♪ 幸せになろう ずっと一緒にいよう〜」から盛り上がる部分でも、最高音はB♭でさほど高くなく、長い音符でもないので、無理なく軽やかに聞こえる。

 

 

 この曲は、もちろん30周年記念のコンサートツアー『Happiness』でも披露され、CD・DVDで鑑賞することができる。腰掛けて歌う麗しいお姿が瞼に焼き付いている。

 

 私のおぼろげな記憶では、大江千里さんだったかどなたかとのコラボのステージの様子もネットで配信され、この「幸せになろう」も歌われていたと思うのだ。若い頃と違って記憶力も衰え、メモ等も取らなくなり、よく分からなくなってしまった。😅💦YouTubeにも上がっていないようだ。どなたかご記憶の方がいらしたら、書き込みをお願いします!

 

 幸せと言えば、私は常に今が一番幸せ、と思える能天気な人間である。だが、この「幸せになろう」などを聴いていると、『Happiness』リリース当時の自分や家族の状況をよく思い出す。仕事もまだ現場でバリバリやっていた頃で、子どもはやっと小学生と3歳。毎日が忙しくはあったが、最も楽しく充実していて、幸せに輝いていた日々だったようにも思える。

 

(2004.10.16 アルバム『Happiness』収録)