5thアルバム『思秋期から…男と女』で、オープニングの「思秋期」に次いで2曲目に配されたナンバー。ファンの間でも人気の高い曲である。作詞:阿久悠、作編曲:三木たかし。

 

 1977年の秋のコンサートでもこの曲は歌われているが、意外なことに様々なベスト企画盤には収録されていない(ライブ盤には収録)。また、イントロ・アウトロで使用されるエンジン音が、ランボルギーニではなくポルシェの音だというのは、宏美ファンの間では周知の事実である。

 

 

 このアルバムのB面全てが別れの曲である、と「BOO BOO」の折りに指摘した。A面は、別れが前面に出ている曲は3曲。もちろんこの「ランボルギーニが消えて」もそうである。スーパーカー・ランボルギーニのイメージを表しているのか、ビート感・スピード感もあり、一見サバサバした別れの印象である。

 

 歌詞には、風のように遠ざかる、きらめいて通り過ぎた木もれ陽、胸をよぎるまぼろし、などの言葉が散りばめられ、恰もランボルギーニが走り去るように、儚い恋だったことが窺える。

 

 曲は、F♯-G♯-Aの八分音符3つを繰り返すところに、コーラスが被ってくる静かなイントロで始まる。キメのリズムの後、16ビートが刻まれ始め、「♪ ランボルギーニが消えて/一つの恋が終りました」と、このアルバムの詞の特徴でもある“です・ます調”で、宏美さんの軽快なボーカルが始まる。

 

 別れの歌で「軽快」というのもおかしい気もするのだが、語尾の捌き方等からそう感じるのだ。バックの演奏も然り。要所要所で鳴るトランペットの音が、むしろ爽やかな印象さえ残す。間奏のギターソロも好きだ。

 

 キーはF♯マイナーで、宏美さんの透明な声が印象的なフレーズ「♪ 追いかけては悲しい/追いかけてははかない」の最高音は上のC♯、美しく伸びる最後の音はBである。その伸ばした同じ音から、次のフレーズ「♪ バイバイ ランボルギーニ〜」を歌い出す。ここでは、突如Eメジャーに転調する。この“バイバイ”という言葉遣いとメジャーの和音の相乗効果で、このランボルギーニと共に消えてゆく恋に、できるだけサラリと別れを告げよう、という主人公の心情が慮れる。

 

 

 「ランボルギーニが消えて」はコンサートでも歌われているが、映像は残っていない。「思秋期」の時に、バラードにも関わらずいやに声援が入っているのは、ジャケット写真にあるように、客席で歌われたのではないか、と想像する。そうすると曲順から言って、この「ランボルギーニが消えて」も、同じ薄いチョコレート色の衣装なのではないか、と推測されるのだ。あの衣装で、「♪ バイバイ〜」と振り付けと共に歌われる宏美さんが目の前に浮かぶ。

 

 このコンサートに参加された先輩諸兄、その辺り実際にはどうだったんでしょうか?是非教えてくださいね。

 

 

 この曲の後半部分は歌うと最高に気持ちの良いフレーズで、学生の頃はいつもカセットをかけながらいっしょに大声で歌っていた。残念ながら、カラオケ店では見かけたことがない。今日、正月休みということもあり、何十年ぶりかでCDに合わせて大声で歌ってみた。やっぱりメチャメチャ楽しかった。😍

 

(1977.10.5 アルバム『思秋期から…男と女』収録)