あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。🎍今年が皆様にとって素晴らしい一年でありますように。

 

 今日からちょうど40年前、1981年の元日。宏美さんの23rdシングル「胸さわぎ」がリリースされた。元日発売というのは、当時も驚きまたおめでたいと思ったが、未だに歴代シングルの中でも他にはなく、この「胸さわぎ」が唯一である。これもまた不思議。今なら、働き方改革とかで元日発売は避けそうだが。何にしても、正月らしく、このレアなおめでたいシングルを取り上げるとしよう。

 

 

 この曲は、オフコースの松尾一彦さんの作詞作曲(編曲は戸塚修さん)である。松尾さんは、オフコース在籍中から作家活動を始めておられるが、この宏美さんに提供した「胸さわぎ」は作家としてはごく初期の作品のようだ。稲垣潤一さんのデビュー曲「雨のリグレット」をはじめ、柏原芳恵さん、早見優さんら多くの歌手に楽曲を提供している。

 

 私がこの曲を初めて聴いたのは、前年12月の『夜のヒットスタジオ』でだった。この頃、宏美さんはデビュー6年目。ヒットスタジオ出演歌手中のポジションは、中堅扱いくらいにはなっていた気がする。私がそう感じた理由は、新曲発表の時はフルコーラス歌わせてもらえるが、2回目以降はショートバージョンのことが多かったからだ。

 

 この「胸さわぎ」も、初披露の時だけはフルコーラスだった。その前の「摩天楼」から前髪を伸ばしてパーマをかけ、大人っぽい雰囲気になってきていた。衣装も、芳村真理さん的に言えば「クリスマスみたいに真っ赤!」。この曲は、デザインの違う白い衣装2着と、この赤の3種類がメインの衣装だった記憶がある。

 

 「♪ 抱いて欲しい〜」という、当時の宏美さんのシングルとしては強烈な出だしの歌詞である。最近どこかで見かけた情報では、この曲は当初「抱いて」というタイトルだったとか。あまりにも直截的過ぎるので変更になったのだろうか。「胸さわぎ」というのは、当時それこそテレビではほとんど歌われることのなかった2番の歌詞、「♪ 出会いの時の 胸さわぎ想い出す」という、サビ前の繋ぎの部分に出てくるだけの言葉なのである。

 

 歌詞の言葉の使い方も非常にユニークだ。特に「♪ 女性雑誌じゃ 要注意人物ね」が特徴的で、当時「宏美さんのシングルでこんな言葉が出てくるんだ!」と新鮮な驚きだった。

 

 また、「振り付けが印象的な宏美さんの歌ベスト20❣️」のブログでベストテン入りを果たしたように(笑)、振りもファンの皆様の記憶に残っているのではないだろうか。「♪ 困る私を楽しんでいるわ」の左手で頭を軽く押さえるような仕草(同じフレーズの2番、「♪ 瞳の奥がやけに冷めてるわ」では左手の人差し指と中指を開いて左目の上下を挟むようなポーズ)。「♪ どうしてこうも女なの」の部分では、マイクを左手に持ち替え、軽くステップを踏んだ後一旦腰を沈めるような動き。そして何と言っても、サビの「♪ バカバカしいほど」の右手をヒラヒラさせる動作がインパクト大である。当時の映像で思い出していただこう。

 

 

 「胸さわぎ」は、揺れる女心を映してか、曲の方もふわふわと変化に富んでいて捉え所がない。イントロは、ディック・セント・ニクラウスの「マジック」のパクリではないか、とファン仲間のOさんから指摘があったので貼っておこう。

 

 

 歌い出しから前半は、概ねCマイナーで推移する。だが、「♪ どうしてこうも女なの」の部分でミとラがナチュラルになり、調性不明瞭になる。サビの「♪ バカバカしいほど バカなことを〜」からは、Aマイナーに落ち着いたように聞こえる。

 

 2コーラス終わった後の新たなパート「♪ 乱れるわ心 もう帰るなんて〜」はCメジャーかと思えば、コーダではAメロ出だしの「♪ 抱いて欲しい」がDマイナーで回帰し、繰り返しながらフェイドアウトしてゆくのだ。

 

 この曲をシングルで歌われていた時期、私はコンサートに足を運ぶことができなかった。なので、レコードやテレビではさんざん聴いたこの曲なのに、生で聴き損なったのだ。しかもその後40年、あいにくこの曲が取り上げられたコンサート、ライブに遭遇していない。😭

 

 宏美さん、是非今度「胸さわぎ」生で聴かせてくださいね!号泣不可避です。

 

(1981.1.1 シングル)