死の匂いがした
7月に入っても和音の病状は日に日に悪化の一途をたどった。心臓のしんどさを示す数値が、びっくりするようなものになって、お薬などで内科的な処置を継続してくださっていたものの、心不全はひどくなる一方だった。当初は3,000グラムまで大きくなってから心臓の弁形成の手術をするのが目標だったが、当然しんどい状態で体重も増えるわけもなく。看護師さんから、お別れを覚悟してくださいね、いざというときに動揺して選択ができない、では困るからと言われた。ちょうどその頃、友人が亡くなったことを知った。その方の旦那さんがメールで知らせてくれたのだった。病弱だったけれど、とっても気の合う方で、家に遊びにきてねと言ってくれていたのでいつかと楽しみにして、それも叶わず嘘みたいに逝ってしまった。夢のようだった。夜中に搾乳で起きたときに、彼女の死のイメージがすごく湧いてきたときがあって、もう和音もだめかもしれない、このままそうなのかもしれない、わたしは子どもを亡くす体験をするのかと漠然と感じていた。いったんそれにどっぷりつかったせいで、いや、絶対そこにいかせない、わたしは絶対連れてかえると腹をくくった気がする。亡くなった彼女のおかげ。