家に帰って来てからの義父
自分の遺影の事、一緒に持っていきたい物
喪主の事、戒名について、お寺にお願いしたい事~
毎日のようにそんな会話ばかり~
寝てる時間も増えた
水もストローで吸えなかったり、飲み込む事も難しくなった
義父は私に「ついに癌が喉まで来たかな?」って~
もちろん食事は取れてない(涙)
毎日緊張の連続(汗)
自宅に戻ってから3週間たった朝、義父に「おはよー」と声を掛けたら、スゴクにこやかな笑顔で
「どうもお世話になりました」
って!
何か吹っ切れたような、とても穏やかな顔だった
まだまだこれからもお世話するよ!オムツ交換だってやっと慣れてきたんだからさ!
話したい事だっていっぱいあるんだからね
義父はただニコニコうなずいていた
久しぶりに見た義父の笑顔
午後になってからは会話もなくなった声かけには反応するし、手を握ると握り返してくれた
翌日の朝、様子がおかしい
高熱でうなされてる
一生懸命に呼吸してる
呼び掛けにも全く反応しない
訪問看護師は
「今、一生懸命頑張ってます…」って
その言葉で私は理解してしまった
その時がいよいよ訪れる
今の状態を義母や義姉・親戚の方には説明できない
ただ、私は最期まで手を握っていたかった
きちんと見届けたかった…
お昼になり、義母は昼食の準備を始めた
みんなでカップ麺やおにぎり~
私の分も準備してある
「早く食べないとのびちゃうよ」
でも義父のそばから離れられない…
みんなは食べきって私を呼んでいる
「片付かないから早く食べて!」
私もササッとたべちゃうか
赤いきつね~食べ始めた時に叔父が…
「床屋行って来たんか?」
(前日にちょっと時間が空いたので、美容院でカットしてきたの。いざと言う時に喪服着て、髪の毛セットする時間はないかな?って)
「ずいぶん準備がいいな~」って
「そりゃあ、そうだよ!長男の嫁だからね」
そんな会話をしながら、みんなで大笑い
突然、叔父が
「布団が動いてないぞ!」
さっきまで呼吸とともに動いていたはずの布団が動いてない
慌てて義父のベッドにはしった…
呼吸は止まっている
「お父さん、お父さん」何回呼んでも呼吸は止まったまま…
義母にまかせ、私は訪問看護ステーションに電話した
「今、息が止まりました…」
「すぐ伺います」
私は大きく深呼吸…とりあえず「腹が減っては戦は出来ず」残りのうどんを一気に食べた
涙と鼻水でグチャグチャになりながら~
直ぐに看護師が2人で来てくれた
その後に病院の主治医も到着(確認)
主治医は1時半からオペの予定が入っていたらしい。
「今の時間で良かった!」
主治医は何かあったら直ぐに行きますって言ってた。ただ当直の時はダメだと…。
訪問看護師もお昼時間だったので、直ぐに来てくれた。
なんか義父が時間を選んで旅立ったみたい
みんなで集まってはいたけど、誰も義父のそばにいなかった
私の髪の毛の話で盛り上がって大笑いしていた私達~
叔父に
「嫁が床屋行って、準備したから安心したんだよ。みんなが笑っている間を選んだんだ。兄貴はそんな人だ!」って…