『知られざる北斎/神山典士著・幻冬舎』

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パイプの煙/JAMの本棚-70・本をカバンに詰め込んで

『知られざる北斎/神山典士著・幻冬舎』

 

 

今更北斎についてとやかくいうことなどありはしない、と思っていたら豈図らんやこの本を書店で見つけとっさに買ってしまった。直ぐに家に帰り猫の額ほどの書斎(笑)で一気読みしてしまった。

この本で気になったのは一箇所。ジャポネズリとジャポニスムを混同していることか。いや、分かった上で敢えて書き分けていないのかも知れない。

それは兎も角、北斎が内外の芸術家に与えた影響の大きさは、成る程ダヴィンチやレンブラントに匹敵する、と言っても過言ではないだろう。異なる点はダヴィンチやレンブラントはパトロン付きの芸術家であったのに対して、北斎は誰の支援も受けない大衆的庶民の画家であったことか。

この中でジャポニスムを取り入れた芸術家はセザンヌ、ドガ、モネ、ゴッホ、ガレ、ロダン、クローデル、ティファニー、ドビュッシー、ムンク、クリムト、ベーテシェン、ライト、リキテンシュタインなど時代や国境を超えて数多くいる。勿論ジュエリー作家も含まれるがここでは触れないでおく。

しかし、北斎・応為親子は何故これほどまでにヨーロッパの芸術家たちに熱狂的に支持されたのだろうか。

北斎の凄さの一つにヨーロッパ絵画にはない二次元の遠近法があると考えている。彼の代表作である浪裏の富士を見れば一目瞭然だろう。いまにも迫り来る大波が前面に描かれ日本一の富士山が小さく描かれている構図は西洋のだまし絵的な圧倒感を持ち、見る人にこれでもか、と引き込ませる迫力を持っている。

この本は19世紀のジャポニスム、北斎を世界的な画家に押し上げた林忠正、小布施の豪商高井鴻山などを絡ませながら北斎を浮き彫りにしている。

私は個人的には北斎を語る時には娘の応為は外せないと考えているが、それを抜きにしても一読をお勧めしたい本である。