この事態を米国も重く見ているだろう 高市早苗は「沖縄に最も嫌われた首相」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/389531 2026/06/25 日刊ゲンダイ

高市首相に飛び交ったヤジと怒号。玉城沖縄県知事との会談は「たったの5分」の冷酷さ(C)共同通信社
忖度のNHKは音声を調整していたが、沖縄慰霊の日に飛び交った高市首相へのヤジと怒号の凄まじさ。玉城知事との会談はたった5分という冷酷。平和教育を委縮させた教育基本法違反の大罪。県知事選でも応援に入れない前代未聞の嫌われ方で、安全保障も何もない。
◇ ◇ ◇
一概に「ヤジ」の一言でまとめていいのか。沖縄戦の戦没者らを悼む「慰霊の日」を迎えた23日、糸満市の平和祈念公園で営まれた沖縄全戦没者追悼式。来賓の高市首相があいさつした途端、会場のアチコチから猛烈な怒声が飛び交った。
「戦争反対」「憲法9条守れ」「沖縄差別をやめろ」──。中には「24万人に謝れ」と叫ぶ人もいた。平和祈念公園の「平和の礎」に刻銘された沖縄戦の犠牲者の数だ。国籍や軍人・民間人の区別はない。すべての戦没者に謝罪を求める痛烈なメッセージである。
忖度メディアのNHKはニュースで高市のあいさつを伝える際、恐らく音声を調整したはずだが、それでもカキ消せないほど、すさまじい怒号の嵐だった。
式典に出席した国民民主党の玉木代表は当日、自身のXに〈追悼の挨拶の時くらい、静謐な環境の下、皆で戦没者を悼むことができないものでしょうか〉と投稿。場を乱す側が悪いと一方的に決めつけ、高市擁護の気配り。
与党入りの下心ミエミエ、忖度政党の代表らしいしぐさだ。
戦後81年。凄惨を極めた地上戦を教訓に、沖縄の人々は平和を希求してきた。声を荒らげた人だって静かにこうべを垂れて、「慰霊の日」を迎えたかったに違いない。それでも「やむにやまれず」との心境だったのだろう。
高市がかくも嫌われた背景に何があるのか。はたして戦没者を悼む「静謐な環境」を本当にブチ壊したのは誰なのか。大手メディアは「首相あいさつにヤジ」などと表面の事象を垂れ流すのではなく、高市の「嫌われる理由」の本質を徹底検証した方がいい。
8カ月以上も沖縄には「時間を使う暇なし」
昨年10月の首相就任後、高市が沖縄を訪れたのはこの日が初めて。玉城デニー知事とも初めて会談したが、時間はたったの5分にとどまった。
亡くなった翁長雄志氏が、辺野古の新基地建設「反対」を掲げて2014年12月に沖縄県知事に就任。当時の安倍首相や菅官房長官との会談が、ようやく実現したのは4カ月後、翌年4月のことだった。その時でさえ「冷遇」と批判され、政権側が世論を気にして渋々対面したのだが、はるかに上回る8カ月以上にわたって高市は沖縄のトップを無視し続けたのだ。
この間、玉城はたびたび高市に会談を求めたが、日程調整がつかなかったという。さすが高市は国会答弁で「寝ていない」と嘆くほど「多忙」で、土日はほとんど「終日公邸で過ごす」くらい、働いて×5で「疲労困憊」なだけのことはある。
何しろ「私は日本国を背負って、国家運営に取り組んでいる」と国会で大見えを切った女傑だ。
味方のタマキはいいけど、辺野古反対のタマキに「時間を使っている暇はない」。安倍政権の冷遇に輪をかけた「冷酷」ぶりには、沖縄への関心の薄さ、思い入れのなさがビンビン伝わってくる。
言うまでもなく沖縄は、高市が最も関心を示す、この国の安全保障の要衝だ。
日本復帰から54年たった今も国内の米軍専用施設の7割が集中している。沖縄への無関心は、安全保障への関心の低さを認めたも同然だ。
その沖縄では、県民の4人に1人が犠牲となった悲惨な地上戦を知る体験者が人口の1割を切り、つらい経験と平和の尊さを伝える平和教育の継承が大きな課題となっている。そこに冷や水を浴びせかけたのもまた、高市政権の非道な仕打ちだ。
今年3月、辺野古沖の転覆事故で同志社国際高校の女子生徒らが死亡。それを機に文科省が同校の平和教育の一部について、「政治的中立」を定めた教育基本法に違反すると認定したことだ。
今度は台湾有事の「捨て石」となれ

平和教育継承にも冷や水浴びせ…(C)共同通信社
教育現場の萎縮が懸念される中、玉城は追悼式の「平和宣言」で「かつてこの地で繰り広げられた出来事を次の若い世代へ責任を持って正しく伝えていく」と誓った。一方、高市は異例の措置について式典後に「過度な介入とは考えていない」と言い放ったのである。
「法に示される『政治的中立』とは本来、教育に介入しようとする権力の横暴を防ぎ、教育の自由を保障するもの。『過度』であれ『半端』であれ、介入の根拠とすること自体がおかしい。むしろ、平和教育を萎縮させる政権側こそ法の趣旨に反しています。この“大罪”を許せば『政治的中立』が今後、権力の意に沿わない教育や思想を取り締まる道具となりかねません。戦後まもなく戦前の皇民化教育の反省を踏まえて制定された教育基本法は骨抜き。まさに『戦前回帰』の危うさです」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
こんな首相に追悼スピーチで「平和で心豊かに暮らせる世の中を実現するため、不断の努力を重ねる」と言われても額面通りに受け取れない。安倍元首相以来のあいさつのコピペ原稿を読み上げただけ。先の戦争への反省や沖縄の苦難への思いは、みじんも感じられない。ましてや沖縄の人々は焦土と化した故郷の壮絶な記憶を長く伝承してきただけに「戦争のにおい」には敏感である。
防衛費増額の前倒し、安保関連3文書のさらなる改定、武器輸出の全面解禁、カーキ色をした「国論二分」法案の数々、そして改憲の「時は来た」。危険な兆候をかぎ取り、追悼式の静かな雰囲気を破った怒号は県内外の人々に「炭鉱のカナリア」としての役割を果たしたのではないか。
二度と犠牲を繰り返してはいけない──という強烈なサインを発したと受け止めるべきである。
もはや「本土」も対岸の火事とはいかない
米軍普天間飛行場返還の日米合意から今年で30年。いまだ返還は実現せず、移設に伴う辺野古新基地の建設だけが着々と進む。
その埋め立て工事に本島南部の土砂を使う計画も浮上。沖縄戦の激戦地だった南部には今も戦没者の遺骨が残る。遺骨の混じった土砂を新基地建設に用いるのは「冒涜」以外の何物でもない。沖縄国際大学大学院教授の前泊博盛氏(安全保障論)はこう言った。
「自衛隊と米軍の共同訓練も地元の頭越しに実施され、今月20日から30日の日程で九州・沖縄各地で島しょ防衛を見据えた日米共同の実動訓練『レゾリュート・ドラゴン』が開始。その一環で『慰霊の日』の前日には陸自のオスプレイ3機が普天間飛行場に初めて飛来しました。6月23日は沖縄の組織戦が終わった日とされ、最後の激戦地となった糸満市摩文仁で平和を祈る県民にとって最も大事な一日。その『静謐』をカキ乱し、県民の感情を逆なでしているのは、日米の軍事一体化を急ぐ高市政権です」
さらには対中国を念頭に防衛体制の「南西シフト」を加速させ、沖縄の島々へのミサイル配備や陸自部隊の格上げに邁進。ひとたび台湾有事が勃発すれば、沖縄の地を再び戦火に巻き込むことに等しいが、そのリスクを「台湾有事は存立危機事態」答弁で一気に高めたのは、誰あろう高市その人だ。
沖縄の人々の気持ちになれば、あのヤジも「二度と生き地獄を味わうのはゴメンだ」という悲痛な叫びにも聞こえてくる。
「高市首相は先の大戦で本土防衛の“捨て石”となった沖縄に、また同じ役目を負わせようとしているとしか思えません。慰霊の日に『戦争の準備をしている人には来てほしくない』が多くの県民のホンネです。
ただ、その『戦争』がかつてと違うのは、仮想敵国が核を保有していること。日本の防衛費倍増以来、安全保障のジレンマで、中国が核弾頭の配備数を年々増やしている実態を東京の政治家は理解しているのか。
戦火に巻き込まれる危機は、もはや沖縄だけではない。決して対岸の火事ではないのです」(前泊博盛氏=前出)
9月に沖縄県知事選を控え、自民党県連からも「首相は応援に来ない方がいい」との声が上がる。米軍の駐留先の沖縄で、高市が蛇蝎のごとく嫌われている事態を、さすがのトランプ政権も重く見ているのではないか。
関連記事
沖縄戦81年「慰霊の日」 高市首相に怒りの声 「戦争反対!」「九条守れ!」「24万人に謝って来い!」「沖縄から出て行け!」
http://www.asyura2.com/26/senkyo299/msg/782.html
高市首相また国会で火ダルマ…中傷動画や暗号資産疑惑めぐり“小芝居”炸裂の答弁修正(日刊ゲンダイ)
自民、見通しなき強硬路線 予算委出席に高市首相難色―終盤国会に暗雲(JIJI.com)
こんな首相は前代未聞 問題なのは疑惑追及に居直りキレる幼児性(日刊ゲンダイ)
本日のワーカーズブログ