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小池百合子問題の本質は「ウソと権力の私物化」である 郷原信郎 <nobuogohara@theletter.jp>2024/7/6 9:44

 

小池百合子問題の本質は「ウソと権力の私物化」

 

昨日、東京地検に告発状を提出しました。郷原信郎2024.07.06

 

 私が「小池百合子落選運動」を展開している7月7日投票の東京都知事選挙に関し、最終盤の7月5日に、上脇博之神戸学院大学法学部教授氏と私は、小池氏を被告発人とする公選法違反(公務員の地位利用)の告発状を、東京地検に提出しました。

 

 選挙期間中の6月28日、都知事定例会見の質疑応答で、小池知事が、テレビ朝日の記者から「街頭演説の手応え、どういう人が手を振り返してくれたか」などと選挙運動について質問され、それに回答しています。

 

 記者会見は、「知事定例会見」として公費で開設された東京都のホームページで動画配信されていて、同選挙における選挙権者である都民も含め、誰でも自由に閲覧できます。記者から選挙に関する質問がなされた場合には、小池知事は、公務に関する質問に限定して質問するよう応答すべきでした。それなのに、自らの選挙運動や有権者の反応について、具体的に説明したのです。

 

 小池氏は、行政のトップとしての「公務の場」であるはずの知事定例会見で、記者の質問に答えて、自らの選挙運動の状況や有権者の反応についてアピールしていたのです。

 

 知事という公務員の地位を利用する「選挙運動」であり、「公務員の地位利用による選挙運動(公選法136条の2第1項1号違反)」に該当する可能性があると判断して、私と上脇氏とで検討した上、急遽、告発状を提出しました。

 

 告発の対象とした小池氏の発言は、選挙運動や有権者側の反応に関するテレ朝記者の質問に答えたものですが、その後も、選挙運動に関する質問が相次いでなされ、むしろ記者クラブ全体の問題のようにも思えたので、記者個人は告発の対象から外しています。

 

 しかし、都知事選の立候補者である被告発人に、選挙運動に関する質問を行った記者側の対応にも公選法上問題があります。そのような質問を行うことについて事前の意思連絡があれば、「共犯」の疑いもあるので、告発状では、この点についても鋭意捜査を行うよう求めています。

 

 公選法違反と言っても、「都知事定例会見での発言」であり、大した問題ではないと思われる方もいるかもしれませんが、決してそうではありません。

 

 これは、政治家・小池百合子の本質に関わる問題です。

 

 小池氏の問題の本質は「ウソと権力の私物化」です。石井妙子氏の【女帝・小池百合子】での北原百代氏、朝堂院大覚氏の証言によれば、小池氏が1976年10月にカイロ大学を(しかも首席で)卒業したなどという事実はあり得ません。しかし、そのウソによって、ニュースキャスターの職につき、その後、国会議員、環境大臣、防衛大臣と、権力の座に上り詰めてきたのです。

 

 学歴詐称について質問されると、小池氏は、必ず

 

 「カイロ大学は卒業を認めています」

 

 と答えます。それは、エジプトの軍事独裁政権に支配されたカイロ大学が「政府の意向で卒業を認めている」ということで、それ自体が、日本の首都東京の都知事と、エジプト政府との関係に関する重大な問題だ、というのが「カイロ大学」の著書もあるジャーナリスト浅川芳裕氏の指摘です【小池百合子 カイロ大学「超法規的」卒業の闇「恩返しとしてエジプトに多額のカネを…」】。

 

 そして、4年前の都知事選挙直前、前記「女帝 小池百合子」の公刊で学歴詐称問題が再燃し、危機的事態に陥った小池氏は、エジプト大使館のホームページに、卒業の事実を認める「カイロ大学声明」を出してもらいました。エジプト政府に大きな恩義を作ってまで、外国特派員協会での私とロンドン在住の作家黒木亮氏による学歴詐称問題を追及する記者会見に対抗し、その「カイロ大学声明」によって学歴詐称疑惑を沈静化させ、二期目の都知事選で圧勝したのです。

 

 小池氏にとっての学歴詐称問題は、ウソで自らのキャリアを作り上げ、政治権力を私物化することで、ウソを塗り固めてきたという、「小池氏の歴史」そのものなのです。

 そして、都知事としての小池氏は、自らの政治権力を固めるため、選挙での得票のため、なりふり構わず、権力を私物化しています。

 

 都知事選挙が近づいた今年3月、「防災ブック」に小池百合子の写真と署名入りの文書を入れて、東京都の全所帯に送り付けたこと、都知事選告示直前に、「物価高騰対策臨時くらし応援事業」と称して、190万の住民税非課税世帯に商品券1万円を配布することを公表し、小池都知事名での申込の案内を、都知事選の投票所入場券の送付とほぼ同時期に各世帯に送付することなど、小池氏自身の選挙公報、実質的な「公費による選挙買収」に近い行為がその典型です。

 

 今回の都知事定例会見での選挙運動に関する発言も、まさに都知事としての公務を、自らが立候補している都知事選での選挙運動のために使ったものであって、都知事の権力の私物化そのものです。

 

 自治体の現職首長としての公務と選挙との関係に関して、前埼玉県知事で全国知事会の会長も務めた上田清司参議院議員に一般論としてお聞きしたところ、以下のようなコメントを頂きました。

 

 現職の知事が、再選をめざして知事選に立候補する予定のときは、私の場合、選挙の3か月ぐらい前から、「県民だより」に知事名を出すことや、県民向けラジオ番組への出演等は控え、選挙期間中は定例会見には全く出席しませんでした。公費で賄われるものを自分の選挙に利用することは許されないということは、自治体の首長であれば、皆わきまえていることだと思いますし、知事部局もその点に配慮した対応をするはずです。

 

 公選法で「公務員の地位利用」が禁止されていることを持ち出すまでもなく、公務と首長自らの選挙運動とを切り離すべきなのは当然のことです。

 

 その「当然のこと」が、現在の東京都庁の組織、知事部局では通用しないというところに、今回の小池氏の都知事定例会見での発言の問題の深刻さがあります。「権力の私物化」を「当然」と考えている小池氏に対して、このような「当然のこと」を諫言できる都庁幹部は、小池氏の独裁下の都庁では生き残っていけない、ということでしょう。

 

 そして、それ以上に問題なのが、都庁クラブの記者達の対応です。

 

 「都知事会見」という公務の場で、小池氏の選挙運動について、ましてや有権者の反応などについて質問するなどということは、常識をわきまえている記者であれば、そして、公選法の知識が多少なりとある記者であれば、行えるわけがありません。ところが、都庁クラブの記者は、今回の告発事実となっている小池氏の発言を引き出したテレ朝の島田直樹記者以外の記者をはじめ、全く問題意識なく質問しており、会見の質疑応答は、さながら、知事の選挙公報会見の様相を呈しています。

 

 それは、「小池氏とメディアの癒着」という、もう一つの問題の本質でもあります。

 

 このような「法と正義」を踏みにじる小池百合子氏、そしてそこに侍るメディアに対して、都知事選挙の最終盤で一撃を仕掛けたのが、上脇氏と私による小池氏の公選法違反による告発です。

 

 「上脇・郷原コンビ」は、小池氏という超・権力者にとって、「悪夢」となるでしょうか。