日本における原発推進には合理性が存在しない! | ワーカーズの直のブログ

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2024年5月15日 (水) 避難不可能明らかな志賀・伊方原発

 

『紙の爆弾』2024年5月号

https://x.gd/s9iMM

に「能登・志賀原発 36年前の内部告発」という文章が掲載されていることを紹介した。広瀬隆氏が編者を務め、1988年に出版されたブックレット『北陸が日本から消える日 能登原発恐怖の疑惑!』(宝島社)を元に同書が予言した「危機」をユーチューブ『広瀬隆の地球千夜一夜物語チャンネル』で発信した内容の前編部分を要約して紹介した文章。ここに記載されている志賀原発に関する重大情報を見落とせない。

 

石川県では珠洲原発と能登原発の計画が進められ、このうち能登原発が志賀原発と名称を変えて1993年に運転を開始。ブックレット表紙に「疑惑は、一通の内部告発の手紙から始まった」と書かれている。能登原発の建設工事に従事する匿名の方から「あってはならない不正が行われている」という内部告発文書と多数の写真、写真の撮影場所を図示した地図が送られてきた。その内容が掲載されている。

 

その告発文が示すのは志賀原発が立地する地盤が脆弱であるということ。本来、原発は強固な岩盤の上に建設することとされている。原発地盤が強固であることを確認するためにボーリング調査が行われる。このボーリング調査で重大不正があったことを告発している。志賀原発近辺は瓦の名産地であり、周辺土壌における粘土層の優越が示唆される。周辺地域の地盤が粘土層と固い部分が交互に重なるサンドウィッチ構造の地盤であるという。志賀原発のボーリング調査でボーリングサンプルのうち、粘土質の土壌サンプルが廃棄され、固い地盤のサンプルだけがつなぎ合わされて地盤強度測定のデータに用いられた疑いが告発されている。これが事実なら志賀原発の安全性に重大な問題が生じることになる。

 

また、志賀原発敷地内で確認されている多数の断層が活断層である疑いも払拭されていない。本年1月1日に発生した能登半島地震を契機に、能登半島北端の幅150キロメートルの範囲で多数の群発地震が発生した。東京大学地震研究所は2013年に始動させた「日本海地震・津波調査プロジェクト」で日本海側の震源断層モデルを示した。同研究所の佐竹健治教授は今回の地震の震源域と重なる七つの海底活断層について、今回の地震で観測された津波波形から断層がどの程度動いたかを解析。その結果、「珠洲沖セグメント」、「輪島沖セグメント」などと呼ばれる「NT4」、「NT5」、「NT6」の三つの活断層が大きく動いた一方、半島先端と佐渡島の間に位置する「NT3」と石川県志賀町近海の「NT9」の二つの活断層がほとんど動かなかったことが判明したことを明らかにした。

 

佐竹教授は今回の地震で動かなかった活断層が刺激を受けて動き、マグニチュード7クラスの地震を引き起こす可能性について警戒を呼び掛けている。佐竹教授が指摘する「NT9」は志賀原子力発電所の至近距離内にある。1月6日に発生した最大震度6弱の地震震源地は石川県志賀町だった。北陸電力志賀原子力発電所敷地内で確認されている断層が活断層である疑いも強い。2023年3月15日の原子力規制委員会定例会合で、志賀原発2号機直下を走る複数の断層が「活断層ではない」とする審査チーム結論が了承されたが、2016年の有識者会合評価書は志賀原発敷地内の一部の断層を活断層と解釈するのが「合理的」だとしていた。

 

こうした状況下で、5月13日、富山、石川両県の住民らが北陸電力志賀原発1、2号機の運転差し止めを求めた訴訟の口頭弁論が金沢地裁で開かれた。

 

 

元日の能登半島地震後初めての審理。北野進原告団長は意見陳述で、地震で道路の寸断など被害が相次いだことを受け「避難計画は破綻している」と指摘し、再稼働の危険性を訴えた。北野氏は、志賀原発周辺で地盤隆起のような痕跡が確認できると説明。「(原発を)建ててはいけないところに建ててしまった」と指摘。「周辺は活断層だらけで、次の大地震に耐えられるのか、住民や多くの国民が不安視している」と述べた。

 

志賀原発が運転停止中であったために大惨事を免れたと考えられるが、原発稼働中に地震が発生していたならフクシマ事故が再現された可能性がある。日本列島を分断する「中央構造線」に沿う活断層を震源とする規模の大きな地震も頻発している。日本における原発推進に合理性が存在しない。いま原発を廃炉にする決断を示すことが後世の人々に対する私たちの責任だ。