保守王国・群馬の県都で自民、公明両党県組織が推薦した3期目の現職が敗れる「衝撃と熱狂」山本一太知事「30年近い政治家で、保守王国での与党完敗現象を初めて目撃」、京都は自公、立憲、国民推薦対共産支援。後者善戦したがここまで。立憲の責任大。
2024-02-06 07:07
1:4日2つの選挙があった。京都市長選挙と前橋市長選挙である。
(1)京都市長選挙の結果
「京都市長選挙 自民 立民など4党推薦の松井孝治氏が初当選
▽松井孝治、無所属・新。当選。17万7454票
▽福山和人、無所属・新。16万1203票
▽村山祥栄、無所属・新。7万2613票
▽二之湯真士、無所属・新。5万4430票
▽高家悠、諸派・新。2316票
自民党、立憲民主党、公明党、国民民主党が推薦した元官房副長官の松井氏が、共産党が支援した元京都弁護士会副会長の福山氏らを抑え、初めての当選を果たしました。(NHK)
(2)前橋市長選挙
前橋市長選挙の開票結果です。
▽小川晶、無所属・新。当選。6万486票
▽山本龍、無所属・現。4万6387票
立憲民主党、共産党、国民民主党、社民党の議員から支援を受けた元群馬県議会議員の小川氏が、自民党と公明党が推薦し、4期目を目指した山本氏を破り、初めての当選を果たしました。
小川氏は、千葉県出身の41歳。
弁護士で、平成23年の県議会議員選挙から、4回連続で当選し、今回、前橋市長選挙に初めて立候補しました。選挙戦で小川氏は、子育て支援策の強化やクリーンな市政の実現などを訴えました。
その結果、立憲民主党や共産党などの支持層を固めたほか、いわゆる無党派層の支持を集めました。また、自民党の支持層からも一定の支持を集めました。
群馬の政界は“保守王国”と呼ばれるほど自民党の勢力が強く、福田赳夫氏、中曽根康弘氏、小渕恵三氏、福田康夫氏の4人の総理大臣を輩出しました。
現在の県内選出の国会議員は、衆議院の1区から5区の5議席、参議院の2議席を自民党が独占していて、山本一太知事も、かつては自民党の国会議員でした。
地方議会を見ても、県議会では、49人のうちおよそ7割の33人が自民党の会派に所属し、前橋市議会では、36人のうち、保守系の会派の議員を含む7割余りの26人が、今回の前橋市長選挙で山本龍氏を支援していました。
保守王国・群馬の県都で自民、公明両党県組織が推薦した3期目の現職が敗れる「衝撃と熱狂」
山本一太知事もブログで「30年近い政治家としてのキャリアの中で、保守王国での与党の完敗という現象を初めて目撃した」
2:両選挙の背景に岸田政権の不人気がある。選挙と同時期行われた世論調査
岸田内閣の支持率23.7% 過去最低更新 JNN世論調査(TBS)3、4日調査。支持率先月調査から、3.4ポイント下落し、23.7%。不支持率3.8ポイント上昇し、74.2%
3;両選挙の違いを見てみよう。各々非自民系を見てみたい。
京都(福山和人) 群馬(小川晶)
性別、年齢 男 62 女 40
職業 弁護士(前回出馬) 弁護士(県議)
支持基盤 共産支援 立憲、共産党、国民、社民支援
対抗の支持基盤 自・公・立憲、国民が推薦 自公推薦
鮮明なのは、立憲の態度。京都では自公側、前橋では反自公。
3;選挙区の特殊性
自民の強さは前橋の方が強い。
共産の受容性は京都が強い。
したがって野党系が勝つとすれば、京都の方が可能性が高かった状況。
4:総括
・両選挙での著しい違いは立憲である。
立憲は泉代表が選挙演説に駆け付け、福山議員が支援の中心にいただけでなく、大阪から辻元清美氏までが自公候補を支援した。「松井候補がもともと民主党の幹部だったとはいえ、すでに月刊Hanadaに立憲への決別宣言を書いて自公の推薦を取ってるんだから、立憲は彼を落とすよう動くのが普通なんだよ。」、その人に相乗り。
・地方議員が前面に出て国会議員は国政で自民と対立するならともかく、逆に2名の立憲市議会議員が自民党相乗りを嫌って会派解消したのに、国会議員団が前面に出たのは
「国政選挙と地方は違う論」の真逆であり、異様でした。今後の国政へのマイナス影響というのは、その前面に出た国会議員がいわば「立憲の良心」の顔だったから、余計にマイナス影響が大きいと思われます。気候変動と環境の福山哲郎議員、福祉の山井和則議員。そして憲法と平和の辻元清美議員、加えて党首の泉健太議員が、ウラガネ&統一教会カルト自民の象徴でもある西田昌司議員)と並んで選挙応援している構図は、それまで立憲に信頼を寄せた人たちに強烈な反作用を生み出しました。辻元さんの応援動画が炎上したのも、一般に信頼している人に裏切られるとその反発はより大きいからです。」(飯田哲也)
「自民・公明両党と立憲民主党を中心「非共産」勢力は、門川退任表明→後継候補を選ぶために動く。自民党京都府連顧問元衆議院議長の伊吹文明の呼びかけで有志の会が発足。「松井は旧民主党出身だが、議員引退後、旧民主党を批判、政策が保守的で、うちも乗れる」(自民関係者)。」(NHK)
小川氏は裏金問題を中心に自民党を批判し、今日の自民党批判の空気を自分のものとした。他方京都では泉立憲代表は裏金問題の指摘、自民党批判をほとんど行っていない。現在の国民の中の空気を手に入れられなかった、
・京都においては、自・公・立憲、国民が推薦の中で、共産勢力は善戦したと思う。
「市民候補が、日本共産党とれいわ新選組の支援で、あれだけ差を縮められたのを特筆すべきです。」との評価があるが、だが、そこが限界である。今後共産党が攻勢選挙にどう対応していくのか。
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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/335726 2024/02/05 日刊ゲンダイ