過日、鎌倉に出向く機会があったので、東神奈川駅のホームで立ち食いそばの昼メシ。
購入した食券は、京浜東北線北行・横浜線下りホームにある日栄軒さんの穴子天そば700円。
ご覧の通り、丼からはみ出す大振りな穴子天がそばの上に載っており、BS-日テレ「ドランク塚地のふらっと立ち食いそば」で紹介されているのを観て、そういえば日栄軒さんには何度か立ち寄ったことがあるのに、穴子天そばは食べたことがないなぁ、と思い試してみた次第。

穴子天は工場から運んでいるので、冷めてしまっているのは駅階段下の限られたスペースで営業されていることを考えれば仕方ないが、ホーム上の立ち食いそば屋自体が減る中、名物メニューのある店舗が頑張っていることにエールを送りたい。
こちらは街の路面店ということもあって、そばは茹でたて天ぷら揚げたてで、「立ち食いそば」の域を超えており、普段ランチタイムに頼むイカ天そばやミニ天丼セットは午後の仕事に向かう体に活力を与えてくれる。
他店を含め海老天を頼むことはあまりないので、番組をきっかけに看板メニューを試す機会を得ることができてよかったと思う。
ちなみに、立ち食いそば屋でよく頼むのはイカ天で、先日も月に2~3回世話になる「小諸そば」で、「イカ天」の食券ボタンを押そうとしたら「終了」の張り紙。
かき揚げそばのボタンに指先を移して出てきたチケットを提供口に置き、丼が出てくるのを待っていると、脇のアクリル板に貼られた紙に「イカ天終売のお知らせ」の文字。
イカの価格高騰につき、在庫がなくなり次第販売を取りやめるとのこと。
運営会社の㈱三ツ和・小諸そば事業部のホームページにも「いかの原材料費の著しい高騰により、誠に不本意ながら販売を取りやめる」旨の告知があり、終了時期は2月末頃を見込んでいるとのこと。
少し前からイカ天のサイズが心なしか小さくなったように感じており、もしかするとコスト的な背景があるのではないかと案じてはいた。

券売機の「終了」を見たのは2月上旬で、その日の分が売り切れたのか、終売が予想より繰り上がったのかは不明だったが、馴染みのメニューが消えるのは寂しい。
イカの価格高騰は報道で知っていたものの、それは国内で水揚げ・消費される品物の話で、輸入がメインと思われる業務用が終売に追い込まれるところまで高騰しているとは想像できなかった。
さまざまなコストの上昇により、イカ天以外の立ち食いそばメニューも各チェーン・店舗で値上げが繰り返されており、昔ほど「ふらっと」立ち寄ることのできる食い物ではなくなってきている。
加えて、水産加工品をはじめとする輸入品を日本が「買い負け」している現実や、円安などの不安定要素もイカ天終売の背景にはあるのかも知れない。
そんなことを考えていると、1杯のそばから身近な食をめぐるさまざまが見えてくるようで、不安を断ち切るように飲み干した汁の味がいつもより苦く感じられた。