【58】久々の一夜城 | 酔いどれパパのブログ

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「お風呂」と「酒」と「路線バス」に関する駄文を書き連ねております。

【57】からのつづき


一夜城歴史公園バス停の向かいには広い駐車場があり、ほぼ満車となっていたものの、本丸につづく坂道にはほとんど人の姿がない。

駐車場脇には「ヨロイヅカファーム」なるスイーツカフェがあり、マイカーの方々の目的地はそちらなのだろう。

5分ほどで小田原の街と相模湾を見渡す展望台に到着。
敵方の城に近い山中に短期間で密かに城を築き、ある日一斉に周囲の木々を伐採して、あたかも一夜にして城が建ったかのように相手に思わせプレッシャーを与える「一夜城」の戦術は、ここ石垣山のほかにも例があるが、豊臣秀吉による小田原征伐では、北条が籠城を決めた時点で敗戦必定だったので、一夜城は攻撃的な意味合いではなく、秀吉が宴を催しながら戦況を見守るための施設だったのだろう。

そんなことを考えながら、さらに勾配を登ると3分ほどで本丸に到着。
やはりここにも人の姿はなく、芝に腰を下ろして、城跡をわたる海からの風に癒される。
前回ここに来たのは、NHK大河ドラマ「真田丸」に夢中になっていた息子たちと訪れて以来だから、あれから8年も経ったのかと思うが、戦国の世を振り返る歴史の時間軸からみれば、お前の人生など一瞬に過ぎないのだと、木々の葉擦れがささやいているように感じる。

最終バスの発車10分前に本丸をあとにして停留所に戻ると、ほどなく「うめまる号」の最終バスがやってくる。
来る時は、箱根登山カラーの新型エルガミオだったが、この緑のクルマは、かつて箱根の「観光施設めぐりバス」に運用されていたオリジナルバージョン。

バスは私を含め5人の乗客と、女性のボランティアガイドさんを乗せて先ほど登ってきた坂道を降り、小田原漁港の「おさかな通り」を通って早川駅へ。

乗降はなく、早川を渡って小田原文学館や白秋童謡館などの並ぶ西海子(さいかち)小道を進んだのち、かまぼこ通りから小田原駅に向かう。

これまで100回以上は小田原を訪れているが、西海子小道は歩いたことがないので、今度あらためて「うめまる号」の1日乗車券を使って乗り降りしながら、小田原文学館などを訪ねてみたい。
(おわり)