【56】開成町のロンちゃん | 酔いどれパパのブログ

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【55】からのつづき


秦野を出た小田急線の下り電車は、隣の渋沢を出ると第一菖蒲トンネルを抜け、蛇行する四十八瀬川と絡み合いながら山あいのカーブを進む。


私が小田急線でもっとも好きな区間で、今回もここを通りたくて秦野から下り電車に乗ったといってもいい。


昨年、中沢酒造さんを訪れた際に下車した新松田を過ぎると開成に到着し、ホームから見えるこちらの車両に誘われて電車を降りる。

かつてよく世話になった特急ロマンスカー「NSE」こと3100形の先頭車が開成駅前で保存されているのを電車の中から何度も眺めてきたが、これまで下車して間近で眺めたことはなかった。

改札を抜けて階段を降りると、マンションを背にかつての花形車両が、脇を過ぎていく後輩たちを静かに見守っている。
残念ながら開成駅に特急ロマンスカーは停車しないが、1年に4日だけ「開成町あじさいまつり」に合わせて各日1本が臨時停車する。

2024年は、6月8~16日のあじさいまつり期間中の土日にあたる8・9・15・16日に、新宿10時20分発の「はこね25号」が停まることになっている。

「ロンちゃん」と名付けられた開成駅前のロマンスカーは、月に2回車内が公開されており、ありがたいことに今日は公開日。
かつてのロマンスカーの名物だった連接台車を外から眺めて、その独特なジョイント音を思い出してから、車両後部の入り口でスリッパに履き替えて車内へ。
ボランティアと覚しきシニア男性の方々にご挨拶して、座席が撤去された車内を前方の展望席に向けて歩く。
両側の窓上には、愛好家の方々が撮ったNSEなどの写真が掲げてあり、右手の棚にはロマンスカーの関連書籍などが置かれている。

開成町での展示に合わせて設置されたと思われる階段を使って、展望席の上にある運転席を見学することができるのが嬉しい。
1960年代製造の車両らしい無骨な造りの運転席を眺めながら、そういえば私が高校生の頃ぐらいまでは、小田急線では白手袋ではなく軍手で運転していたなぁ、と顎紐&軍手の硬派なスタイルの運転士の姿が蘇る。

展望席は、座席が残されほぼかつての雰囲気を残していて懐かしい。

5分ほどで車内から出て駅前通りを歩き、酒匂川(さかわがわ)の堤防に上がってひと息。
正面の山の麓に去年訪れた松田の中沢酒造さんがあるんだなぁ、と考えながら、先ほど金井酒造店さんで物販コーナーのお姉さんと中沢酒造さんの話になった時に、「まつだ」の「ま」にアクセントを置いて話されるのを耳にしたのを思い出す。

同じ神奈川県内でも横浜など湘南エリア以外では「町田」と同じように平板なアクセントで松田を呼ぶ人が多い。

地元ならではの呼び方を耳にするのは嬉しいもので、以前住んでいた「豊洲」も古くからの人たちは平板ではなく「と」にアクセントを置いていたし、ゆりかもめの案内放送も長い間それに合わせていたが、東京オリンピック開催が近づいてきたせいか、2017年頃に有楽町線と同じ平板な発音に変更されたのは残念だった。

開成駅前に戻って「ロンちゃん」に別れを告げ、再び小田急線の下り電車に乗り込んだ。
(おまけ)
昨年訪れた海老名にあるロマンスカーミュージアムの入館券。
(つづく)