【51】八王子夕暮れぶらぶら歩き | 酔いどれパパのブログ

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「お風呂」と「酒」と「路線バス」に関する駄文を書き連ねております。

5月も下旬に入り、都心で仕事を終えてから八王子に戻っても、空に明るさが残っている日もあり、時折夕暮れ時の地元散歩を楽しむ。


先日は、八王子駅の改札を抜けて南口に降り、西八王子方面に向け少し歩いた。


中学生の頃に通った理髪店が健在なのを確かめ、これまた昔と変わらぬ鯛焼き屋さんの店構えを眺めてから、中央線にかかる跨線橋上でひと息。

マンションばかりになってしまったが、かつてはこの写真の風景の範囲に、とあるベテラン俳優さんの一軒家があり、お庭でゴルフの素振りをされている姿をお見かけしたこともある。

妹の高校の先輩でもある、そのベテラン俳優さんは鬼籍に入られて今年で30年になるが、今でもBSにチャンネルを合わせると、ドラマの中でしばしば登場するので、まだご活躍されているような錯覚に陥る。

そんなことを思い出しながら跨線橋を渡ると、そこは八王子随一の歓楽街として知られる三崎町。

そういえば、高校の部活帰りに三崎町で件の俳優さんを見かけ、当時流行していた刑事ドラマの役から「かちょ~」と体操部のみんなで呼びかけたのは、田舎の高校生の所業とはいえ、今考えると失礼にして愚かなことだと思う。

そんなことを思い出しながら、「みさき通り」を歩き始めると、すぐ左手にいい感じの居酒屋さんが目に入る。
意外にも地元で居酒屋に入る機会は少なく、去年八王子に眠る先輩の墓に参った後に、23区や横浜から来たみんなと一杯やる店の予約に苦労した。

気の利いた店の一つも知っていればなぁ、と来年の七回忌に向けて店探しを始めようかと思っていただけに、ここはチェックのためにも寄っておきたい。

そう思いながら暖簾をくぐり、カウンター席に腰掛けると、目の前の冷ケースには種類豊富にして新鮮そうな魚のサクがきれいに並んでいる。

普段なら迷わず刺身盛り合わせを頼むところだが、この日は昼に魚を結構食べたので、まずはお通しで瓶ビールをやりながらメニューに目を通す。
せっかくきれいな魚が並んでいるのに惜しいなぁ、と思いながら久しく口にしていなかった馬刺しを注文。

夕暮れ時の八王子でたまたま見つけて初入店した居酒屋さんでくつろいでいると、カウンターの端で小学生くらいの男の子が食事をしながら、母親らしき女性と話している。

大将のお孫さんと娘さんとのことで、何だか親戚宅の夕餉時に混ぜていただいたようで楽しい。

私の席に飲み物などを運んで下さっているのは、大将の母上とのことで、家族三代仲睦まじい雰囲気を感じながら呑る酒はうまい。

若い頃、アルバイト先の元国鉄職員のおじさんに、三崎町の「いかりや」という居酒屋さんに連れてきてもらったことを大将に話すと、「うちの向かいの、今駐車場になっている場所にあったんですよ」とのこと。

その元国鉄職員は、「ここは、いかりや長介の親戚がやってるんだよ」というようなことを言っていたが、普段から冗談ばかり言っている人だったので、その時は話半分に聞いていた。

大将によると、実際にご親戚だったそうで、あの時は信じなくて申し訳なかったなぁ、とご健在なら百歳近くになっている、そのおじさんの顔を思い出しながら馬刺しをつまむ。

そんな会話を楽しみながらいい酔い心地になると、やはり魚で日本酒をやりたくなり、金目刺で冷酒を一杯。
魚で日本酒やっぱりいいなぁ、という当たり前を今さら再認識。奥に広い座敷もあるし、来年の七回忌の帰り店リスト暫定トップに位置づけて、涼風の立ちはじめた三崎町を駅に向けてぶらぶら歩いた。
(おまけ)
後日、朝昼食を質素にして心身を「魚喰いモード」に整え、夕方こちらのお店を再訪。念願の刺身盛り合わせを一人前でお願いすると、この充実ぶり。
サービスして下さったのかも知れないが、一人前でこの内容は良心的過ぎる。

質もよく、刺身の合間に谷中しょうがをつまみながら、一の蔵やら男山をやると、もう言うことなし。

次は仲間を連れてこようと思いながらお会計を済ませ、まだ明るい三崎町を抜けて帰路に就いた。