【34】からのつづき
道の駅大谷海岸は、「日本一海水浴場に近い駅」と呼ばれた気仙沼線大谷海岸駅に併設される形で1995年に「開駅」したが、東日本大震災で駅や線路もろとも津波に呑まれ、海岸の砂浜も消失した。
震災復興により防潮堤と一体的に整備された国道45号の陸側に新たな道の駅とBRTの駅が造られ、2021年に供用が開始された。
2階のデッキ部分に上がると、当初計画より防潮堤をセットバックさせてまで復活させたという砂浜と、今は穏やかな表情をみせる遠浅の海を望むことができ、心地よい潮風を感じながら、気仙沼を訪れることができた幸せに感謝。
砂浜から防潮堤上の後背地に至る一体的なインフラ整備は、地域住民をはじめとする多様な関係者間の合意形成や、住民案をベースにした関係行政機関との協議などを経て実現されたもので、砂浜により地下水が遮断されないようサンドコンパクションパイルという工法が採られているほか、砂浜には地元の小学生が育てた海浜植物の苗が植えられているとのことで、こうした一連の取り組みにより第2回グリーンインフラ大賞国土交通大臣賞を受賞している。
ちなみに道の駅の入り口には、気仙沼線の大谷海岸駅付近で使われていたレールが再利用されており、訪れる人々を静かに迎え入れている。
デッキを降り、トイレに寄ってから先ほどBRTを降りたバス乗降場に向かう。
ほどなく仙台行きの高速バスがやってきたので乗り込むと、車内には3人しか先客はおらず、最後部席に腰を下ろすと、バスはマイカーの客で賑わう道の駅大谷海岸をあとにした。
(つづく)