【31】念願の訪問 | 酔いどれパパのブログ

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「お風呂」と「酒」と「路線バス」に関する駄文を書き連ねております。

【30】からのつづき


北上駅から歩いて7~8分ほどでRさんのお店に到着。


17時のスタート時間に合わせて訪れたにもかかわらず、店内はすでに人であふれており、入店待ちの列に並ぶ私の後にも次々と客が現れる。


ひとりずつRさんと挨拶を交わしながら料金を支払い、呑み放題用のプラカップを受け取りつつ、大まかな着席場所の指定を受けている。


私の番が来て、ご無沙汰してしまった非礼を詫びながらプラカップを受け取ると、Rさんの向かいの席を指定される。


何だか常連さんに申し訳ないなぁ、と思いながらも、すでに呑み放題がスタートしているので、さっそく様々な日本酒でプラカップを満たしては干す。






大皿に盛られた料理も次々出てくるが、客の数も多いので、どの皿もすぐに空になる。

その間にも客の入れ替わりがやまず、さらに熱気が高まって、店内のみならず表のウッドデッキに置かれた8席も埋まっている。

Rさんによれば50人までは把握しているが、延べ人数はもう分からないとのことで、お店とRさんがこの街の人びとにも愛されているのを感じ嬉しくなる。
これだけの人気店が看板を降ろすのは、Rさんが6月に第2子を出産されるためとのことで、聞こえてくる会話の中から、喜ばしい理由での閉店を常連さんたちが惜しみつつ祝福しているのが伝わってきて、プラカップの酒に涙が混じりそうになる。

思い返すと、Rさんと最初に出会ったのは約15年前、東京有楽町にあった日本酒バーだった。

たまたま寄ったビルの地下に日本酒の文字を見つけ、フラリと入ったお店を仕切っていらしたのがRさんだった。

酒の品揃えだけでなく、季節の野菜や魚を、手を加えすぎずに程よい量で提供して下さる小料理屋のようなお店で、どんな酒でも燗の要望に応えて下さった。

何度か通っているうちに、この方は私の酒の師匠だと思うに至った理由は、ここでは紹介しきれないほどあるが、学ばせていただいたことは、いつも酒杯に溶けて私を励まし、ときに戒めてくれている。
(つづく)