【18】からのつづき
佐和田バスステーションから乗り込んだ佐渡金山行きは、三菱ふそうの初期型ノンステップ(新製時は「ノーステップ」表記)で、車内仕様から遠州鉄道からの移籍車だと推測したが、よく見るとハイバックシートの一部にはリクライニング機能が付いており、どうやら浜松出身ではないらしい。
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うーん、どこから来たクルマだろうと想像を巡らせてみるものの、全く思い浮かばないので、気持ちを切り替えて車窓に目をやると、日本海が広がっている。
両津港を出てから、ほとんど海の見えないルートを辿ってきたので、島にいる実感が薄いまま3時間ほどが経っていたが、ここへきて佐渡のイメージに沿う風景に出会えた。
相川を出ると、バスは金山を目指して急な坂道を登っていき、家並みの向こうに見える海面との標高差が増すごとに、車窓の日本海が広さと輝きを増していく。
佐和田バスステーションから約30分で佐渡金山バス停に到着。
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窓口に行くと、「宗太夫坑(そうだゆうこう)」と「道遊坑(どうゆうこう)」の2つの見学コースがあり、所要時間は前者が30分、後者が40分で共通チケットも販売されている。
七浦海岸線最終バスの発車時刻までは、約1時間なので急げば両方巡ることができそうだが、ゆっくり見たいので「江戸金山絵巻コース」と銘打たれた宗太夫坑のチケットを買い求める。
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ヒンヤリした江戸初期の坑道跡を地下深く入っていくと、佐渡金山絵巻に描かれた採掘作業や休息の風景を再現した空間が次々と現れる。
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ひと通り見学を終え、土産物コーナーを抜けて外界に出ると、入坑からちょうど30分が経過しており、山あいのバス乗り場は先ほどより気温が下がっていて肌寒い。
七浦海岸線最終バスの発車までは約30分。日の当たらないベンチに腰掛けて、来る時に乗ったクルマはどこの出身かとスマホで調べると、宇部市交通局で新山口~宇部新川間の特急バスに用いられた車両のようだ。
だんだん体が冷えてきて、早くバスが来ないかなぁ、と他に客のいない乗り場で熱燗や温泉を思い浮かべる。
佐渡行きを決めた際には、尾畑酒造さんや佐渡金山が見学コースに入っている新潟交通佐渡が運行する定期観光バス「おけさ(午後)」に身を任せるつもりでいた。
しかし、折からのドライバー不足を受けて定期観光バスは2月から運行休止となっており、路線バス乗り継ぎの旅と相成った。
やってきた七浦海岸線の中型バスは、私ひとりを乗せて佐渡金山をあとにした。
(つづく)