【17】からのつづき
長石から乗り込んだ新潟交通佐渡の小木線佐和田バスステーション行きは、背もたれ上部の形状が特徴的な元名古屋市交通局の中型バス。
車内は、30分前に南線の佐和田バスステーション行きが運行されているためか私以外の乗客はゼロ。
15分ほどで佐和田バスステーションに到着。ここは、新潟交通佐渡の本社・営業所があり、各方面へのバスに乗り継ぐことのできる島内最大の公共交通結節点。
白いビル(新潟交通佐和田ビル)の1階にはバス乗り場のほか、案内所や待合室、そして小さいながらも「ISETAN」の看板を掲げた店舗もある。
ここからは、相川地区と両津地区を結ぶ「本線」に乗り継ぐのだが、どちら方向に進むかについては、まだ決めていなかった。
6分後に出る両津方面行きに乗れば、沿線に2つある日本酒蔵を訪ねることができ、島内に5つある酒蔵のうち4蔵を半日で回る偉業(ならぬ異業)を達成することができる。
一方で、両津とは逆方向の相川方面には14分後に、佐渡金山行き最終バスが出る。
酒蔵巡りか金山か。
いつもなら迷いなく前者を選ぶところだが、すでに訪れた2つの酒蔵で十分に幸せな気持ちになっていたし、数少ない佐渡金山行きを逃すのは惜しい。
金山に気持ちが定まったので、空き時間を利用して裏手の営業所までぶらぶら。
奥の3台は神奈川中央交通からの中古車だが、黄色の2台は昔のカラーリングに近い装いのまま、佐渡島内で活躍しているようだ。
乗り場に戻りトイレに寄ってから、案内所で帰りのバスの乗り換えについて尋ねる。
佐渡金山見物を終えた後には、すでに本線の運行は終わっているので、どうやって戻ったものかと乗り換え案内アプリを開くと、七浦海岸線の金山発最終便に乗り「きらりうむ佐渡」なる停留所で降りて3分の接続で本線に乗り継げと表示されたが、新潟のフェリーターミナルでもらった島内路線図によると、きらりうむ佐渡のひとつ手前の相川下戸にも両方の路線が通ることになっている。
きらりうむ佐渡では3分の接続で、なかなか際どいが、七浦海岸線をひとつ手前で降りれば反対方向から来る本線への乗り継ぎ時間に余裕ができると考えたものの、自信がないので窓口の女性に尋ねたのだった。
回答はアプリと同じく、きらりうむ佐渡での乗り換えとのことで、おそらく本線と七浦海岸線の分岐点にある相川下戸のバス停は離れているのだろう。
電話でどこかに尋ねてまで丁寧に調べて下さった女性に礼を言うと、程なく本線のバスが入線。ハイバックシートの並ぶノンステップバスの最後部席に陣取って、佐渡金山を目指した。
(つづく)