四万温泉で一杯 | 酔いどれパパのブログ

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「お風呂」と「酒」と「路線バス」に関する駄文を書き連ねております。

(前ページからのつづき)

四万温泉は、グランドホテルに何度か世話になった記憶があるほか、約20年前に当時の職場の仲間達と酒屋さんの2階で合宿した思い出がある。


まだ残っているかなぁ、と思いながら四万川の下流方向に歩くと、昔と変わらぬ風情で道行く観光客を見守っていて、ひと安心。

まずは昼メシを食おうとブラつくが、これといった飲食店が見当たらないので、グランドホテルの近くにあった食堂まで戻り、こちらの名物という「だんべえめし」なる飯モノと、単品のトンカツ、鶏から揚げで一杯。
だんべえめしは、蒸し鶏や錦糸玉子などを白米に載せ出汁をかけてからいただく茶漬け風で、奄美地方の「鶏飯」に似ていて、吞んだあとのシメにもよさそう。

温泉場でトンカツというのはあまりやらない組み合わせかも知れないが、群馬県は豚肉をよく食べる土地柄で、こちらのお店のものは地元沢田地区で育ったブランド豚の上州麦豚だそう。

腹一杯になったので、今度は風呂に入ろうと、坂を上がりこちらへ。
四万温泉の代名詞的老舗温泉旅館「積善館」。

元禄四年に建てられという本館は、現存する最古の木造湯宿建築と言われ、同じ敷地にある昭和11年建築の山荘(宿泊棟)は国の重要文化財に指定されている。
日帰り入浴も可能で、湯銭は旅館名の入ったタオルが付いて1500円。簡易タイプの自販機でチケットを買い、タオルを受け取ってから風呂に向かう。

途中には飲泉場があり、紙コップに注いで口に含むと、塩化物泉らしい薄めの塩味に出汁のような旨みが感じられるのは、先ほどのだんべえめしの口名残だろうか。

日帰り入浴で利用できる浴場は、昭和5年に建設された「元禄の湯」。大正時代の洋風建築のような意匠で、何度か入ったことのある諏訪湖畔の「片倉館」を思い出起こさせる。


浴室内は、7~8人ぐらい入ることのできそうな石造りの浴槽が5つあるほか、シャワーと蒸し風呂が1人分ずつ。


幸い先客は1人しかおらず、バスに4時間半揺られてこわばった体をゆったりほぐす。


同じ浴槽に浸かるM君のことは 、私が5歳の頃に彼が生まれた時から知っており(いとこだから当然)、今年で45年の付き合いになるが、これからも末永く風呂に入ったり、酒を吞んだり、バスに乗ったりできればと思う。


彼よりひと足先に上がって、足湯のある庭に出てクールダウン。

先ほどの飲泉が効いたのか腸が動き出したので、きれいにリニューアルされたトイレに寄ってから出てくると、M君も湯から上がってきて、2人さっぱりした気持ちで積善館をあとにする。

M君の八王子からの高速バスの終点まで乗りたいとの要望に賛同して久々に訪れた四万温泉で、約2時間という限られた時間の中、メシと酒、風呂を楽しむことができてよかった。

時間と懐に余裕があれば積善館に泊まってみたいところだが、次なる目的地に向けて中之条駅行きのバスに乗り込んだ。
(つづく)