昼の草津でひとり風呂 | 酔いどれパパのブログ

酔いどれパパのブログ

「お風呂」と「酒」と「路線バス」に関する駄文を書き連ねております。

(前ページからのつづき)

湯畑につづく坂道を、老舗旅館や土産物屋を眺めながら下る。


草津温泉にはこれまで公私合わせて10回以上訪れているものの、プライベートの昼間に1人で歩くのは初めて。

バスターミナルから5分ほどで湯畑に到着。
湯気とともに立ち上がる硫黄臭に温泉場の雰囲気を感じつつ、湯もみ体験の行列を横目に見ながら、こちらでひと風呂。
先ほど案内所で教えていただいた観光客向けの有料立ち寄り温泉「御座之湯」。

草津温泉には地元の人が管理する無料の共同浴場が点在し、御座之湯の近くにも「白旗の湯」という共同浴場があって、近くのホテルに宿泊した際に夜の外湯巡りで入ったことがある。
入浴料金800円也をSuicaで支払い、脱衣所の棚に服とリュックを放り込んで浴場に入ると、2つある浴槽にはそれぞれ4~5人ほどが浸かっている。

体を流して、まずは万代源泉のほうの湯舟にザブリ。御座之湯は、江戸から明治にかけての共同浴場の雰囲気を再現した木造で、浴室は石之湯と木之湯の2種類が男湯と女湯の日替わり制となっており、今日の男湯は石之湯。

それぞれに万代源泉と湯畑源泉の湯舟が用意されていて、皆さんベンチで休憩を挟みながら交互に楽しんでいる。

湯舟に浸かりながら顔を上げ、「とんとん葺き」と呼ばれる杉板造りの天井に湯気が立ち上っていくのを眺めていると、飲み仲間に何度か連れていってもらった同じく群馬県は法師温泉「長寿館」を思い出す。

30分ほどで浴室から出て、2階の大広間でひと休みしてから、一杯やるべく表に出ると正午のチャイムが鳴る。

観光地の12時台だから、下手をすると混雑で湯上がりのビールにも昼メシにもありつけずに13時20分発の長野原草津口駅行きのバスに乗る仕儀になるかも知れないと思いながら湯畑沿いを歩いていると、「新そば」の文字を掲げた蕎麦屋が目に入り、店内を覗くと驚くことにガラ空き。

狐につままれた心持ちで店内に入り、誰も座っていないカウンター席の隅に腰掛けて湯上がりの生ビールを注文する。

目の前には群馬県内の酒の瓶が並び、QRコードを読み込んでスマホで閲覧するタイプのメニューに目を通すと、観光地のお店にしてはフードメニューが豊富で値段も街の蕎麦屋と変わらない。
生ビールで一気にクールダウンしたので、一旦腹を温めるようと熱燗を注文し野沢菜とともにやると、 1週間前に訪れた長野県の「手打ちそば 川上屋」での楽しかった時間を思い出す。
そうこうしているうちに客がどんどん現れ、テーブル席もカウンター席も満席になる。

わずか15分ほどでの変化に驚きながら、早めにオーダーをかけた方が良さそうだと思い、昼メシを何にしようかとメニューを見ながら迷う。

群馬県だけにうどんと舞茸天ぷらのセットあたりが人気メニューのようだが、熱燗、野沢菜ときたらそばを食いたい。

スマホでオーダーすると、5分ほどで丸いざるに盛られたそばが到着。

まずはつゆを付けずに味わうと強い甘みが感じられ、「これはいいぞ」と思いながら、わさびを軽くのせて手繰ったそばの裾だけつゆに浸して啜ると、箸が止まらなくなり新そばを喰らう喜びを満喫する。

観光客向けの店と軽くみていたが、本式のそばを湯上がりの一杯とともにいただくことができ感謝。 隣に座った若い男女2人連れは、私と同じタイミングで出されたざるそばを一心に啜り終えると、さっと席を立ちかっこいい。入ってくるなり「ざるそば、ざるそば」と言いながら、迷わずオーダーしていたから常連さんなのかも知れない。

そば湯で腹と心を整えてから会計を済ませ表に出ると、湯上がりの酒で緩んだ視界に、湯畑の風景がぼんやりと浮かび上がった。
(つづく)