モビリティショーにてバス想う | 酔いどれパパのブログ

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「お風呂」と「酒」と「路線バス」に関する駄文を書き連ねております。

過日、東京モーターショーあらためジャパンモビリティショーで、バスやトラックをはじめとする「はたらくクルマ」をウォッチ。


と、言っても大・中型車の出展自体は少なく、かつて商用車単独でモーターショーが開かれたのが嘘のよう。


モーターショー訪問はコロナの影響で中止になった2021年開催を除いて、直近6回皆勤賞だが、回を重ねるごとにバスの展示が少なくなっていくのを感じており、日本のバス市場や利用者の縮小を意識せざるを得なかった。


そして、装いをあらためた今回のショーは、メインである乗用車の展示も控え目で、自動車マーケットとしての日本のさらなる凋落ぶりを見せつけられる思いがした。


そんな淋しさ募る会場内で、バスのプレゼンスを何とか維持しようとするかのごとく展示されていたのはこちら。

いすゞ自動車のブースで白いボディが存在感を放つ「ERGA(エルガ)EV」。

すでに国内でディーゼルやハイブリッド車が幅広く活躍するエルガの電気バスで、来年の市販化を目指しているという。

コンセプトカーではなく、市販車をイメージしているだけあって、車内も現行エルガに近い印象だが、後部レイアウトは大きく異なる。



後部タイヤハウス内にモーターなどが左右独立で収められているため、ディーゼル車にあるエンジンや駆動系などの床下配置が不要となったことで、最後部までほぼフラットな床面を実現しているばかりでなく、すべての座席に段差なくアプローチできるよう設計されている。

説明員の方のお話では、バリアフリーに加えて、近年高止まりしている路線バスでの車内転倒事故防止を意識したレイアウトだそうで、展示車両の前タイヤ上部に座席を設置していないのもメーカーから事故防止に対するメッセージが含まれているとのこと。

電気バス自体はすでに国内でも150台以上が活躍しているが、純然たる国産車はほぼ皆無で、バス事業者からはアフターサービスや既存車とのパーツ互換性などの観点から早期の国産化が望まれている。

こうした状況を踏まえ、環境省・国土交通省・経済産業省はエネルギー対策特別会計を活用した2024年度予算概算要求で、23年度予算比倍増以上となる341億円を商用車の電動化関連予算として要求している。

予算は、車両や設備への導入補助を通じたバス事業者への支援のほか、国内メーカーの電気バス製造を後押しする狙いもあるという。

マーケットとして魅力の小さい路線バス製造への新たな投資はメーカーにとって厳しい判断が伴うであろうことは想像に難くないが、政府が掲げるカーボンニュートラルの目標達成には商用車の電動化は重要な課題の一つだ。

関連の予算要求は、来年のEVモーターズ・ジャパンによる北九州市での電気バス本格生産開始などを織り込んだものとみられ、国内での電気バス普及だけでなく製造にも弾みをつける起爆剤になるものと期待される。

財政当局との折衝を通じた予算編成はこれから本格化するが、関係省庁には必要な予算の確保に努めてほしい。